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自分が歪んでいる事は、かなり前から知っていた。人の幸せを願うどころか、人の不幸を願うくらいには歪んでいる。
そして、それは自分が大事に大切にしたい者だろうと関係がなかった。むしろ、自分のせいで悲しみ苦しむ姿が愛おしく思うくらいには狂っていた。
別れを切り出したのも、一切関わらなくしたのも、全部が自分の為。悲しみ苦しむお前が見たかったから。わざと簡単に忘れられない様にと色々と細工もした。
だが、少し放置し過ぎた。
いくら、他の男に泣き付こうが別に構わない。その時さえ、お前は俺とそいつを心の中で比べているだろうからな。
そして俺を忘れられず思い出にも出来ない自分に嫌悪し、相手に悪いと罪悪感で苦しむ。そのループの中で、堕ちるとこまで堕ちてくればよかったものを、
「お前が幸せになるなんて絶対に許さねぇ」
「…っ、んっ…ぁ、っ…!」
「勝手に他の男のモノになるのも許さねぇ」
梨華に昔を思い出させる様に、丁寧に執拗に時間を掛けた。もちろん、梨華は何度も嫌だと首を振った。それでも身体は正直で、面白いくらいに反応した。俺が触れる度に毒が侵食していくかの様に、梨華の理性が剥がれ落ちていく。
嫌だと首を振る事すらしなくなった頃には、ただただ壊れた様に俺の名前を呼ぶ梨華が愛おしくて、久し振りに抑えが効かなくなった。
その結果、途中で梨華は気を失ったがそれでも俺は梨華を求めた。
気を失っても、俺が触れれば思った通りに反応をし、辛そうな声で鳴く梨華に何かが満たされていった。
俺が満足した頃には梨華の姿は、まぁ色々と酷い有り様だった。ぐったりとしたまま小さく痙攣している梨華の真っ白な肌に無数に散らばる真っ赤な印に乱れた髪に赤くなり少し腫れた瞼。
思わずこのまま殺して飾って置きたいくらいだった。まぁ、もちろんそんな馬鹿な事はしないがな。
今は仕方なく写真を撮るだけで済まし、梨華の体を綺麗にしてやった。
そしてベッドも軽く整えてから梨華を寝かせ、ただただ梨華の寝顔を見ていた。
昔より少し短くはなったが、相変わらず髪は綺麗にしている様でサラサラと指の間から流れていく。
目を覚ましたら、きっと梨華はまた泣くんだろうな。自分がした事に対しての絶望感と罪悪感で…。梨華は、苦しんで苦しんで壊れてしまえばいい。
そして最後に俺に縋って、自分勝手に俺を求めてくればよかったのにな。嫁も子供もいる俺に苦しみながら縋ってくれば俺はいつでも受け入れてやったのに、なァ?
だが、これもまた一興。
もう逃がすつもりはねぇからな。
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