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「あ゙ぁ…うぅぅ、い゙たぁぃ…」
わたしは今、部室にてゾンビの様な声で唸りながら、机に倒れ込む様にして下腹部を押さえていた。
…す、座れん。
というか、動けない。
少しでも動くと何がどうしてそうなるのかわからないくらいの激痛が走り、机に倒れ込んだまま動けずにいる。アレか、お昼を食べたせいですか、そうですか! 知ってたけど。
そして、なんて事だ。
よりによって、薬が切れているとは…! ていうか、忙しくて病院に薬を貰いに行けなかったのが悪い。つまり、なんもかんも真が悪いんだ。全部、花宮真って奴が悪いんだ!!
治まる様子のない痛みにイライラを通り越して、普通に泣きたくなってきた。
せめて横になりたいが、どうにもこうにも少しでも動くもんなら、下腹部が爆発するんじゃないかという痛みなので…やはり、動けない。
え、わたし…ずっとこの格好のままなの? え、なにそれ辛い。ていうか、素直に保健室に行けばよかった。
仕方なく暫くそのままの格好で、痛みに堪えていると容赦なく予鈴が鳴った。そして、そのタイミングで開く部室のドアである。
もはや、振り向くのも辛いので無反応である。いや、まぁ…大体は誰が来たかはわかっているからね。
「…は? 何してんだお前」
ドン引きしてんじゃねぇか。
まさになんだこいつ? と言わんばかりの真の声色に物凄く呆れた様な顔をしているんだろうな。
「………あぁ。薬を飲みに来たんだろ? まだ効かねぇのかよ」
「……ない」
「…は? お前バカなのか?」
「うるさい…」
「そもそも、なんだその際どい格好。襲ってくれってか?」
「………」
少しの間の後、全てを察した真がいつもの様にわたしが薬を飲みに部室に来た事を見事的中させる。だが、今回はその肝心な薬がない訳で…こんな格好で痛みに堪えてるんだよ、クソが。
そして、もはや反論する気力もないくらいには参っているわたしは、ふざけた事を抜かしている真を無視する。
わたしに話し掛けるな、下腹部に響く。下腹部を爆発させんぞ、コラ。
そんな事を思っていると真から盛大な溜め息が聞こえて来て、ゆっくりとこちらに向かってくる足音。そしてゆっくりとわたしの腰に手を置くと、撫でる様に腰を擦る。
「何日目」
「1」
「まじでバカだろ」
「………」
「お前、市販の鎮痛剤効かねぇけどダメ元で飲むか?」
「ん」
「後、これ掛けとけ。つーか、痛くてもとりあえず座るか横になってろ」
そう言いながら自分の上着をわたしに掛け、ロッカーから薬を取り出している真の背中を見つめる。
わたしだって、座りたいし…あわよくば横になりたいんですけどね? この爆弾がね? 少し動くだけで怒る訳ですよ。そりゃあもう激おこなんですよ。
そしてピクリとも動かないわたしに、真がまたしても大きな溜め息を吐いた。
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