日常編 | ナノ
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あぁ、もう本当に面倒臭い。
別に嫌だとかじゃなくて、本当にただただ面倒臭い。



「それで、終わらせる課題はこれだけでいいの?」

「そうだよーん」

「だけど、原くんは数学そんなに苦手じゃなかったよね?」

「いーや? いっつもギリギリ赤点じゃないだけで、めっちゃ苦手だけど」

「…そ、そうなんだ。なのに、数学の先生に喧嘩売っちゃったんだ?」

「あいつの教え方が下手なのが悪いんだって。つーか、字汚いし。まぁ、ノート持ってねぇけど」



いや、それは知ってるけど。ていうか、まじでなんでわたしに頼みに来たし。しかも、わざと断れない様に教室にまで来て頼むとか本当に質が悪い。

ヘラリと笑いながら、わたしの机に頬杖を付きながら "おねがーい" と可愛くないぶりっ子をしている一哉に笑顔がひきつる。

そもそも、お前は授業をサボり過ぎなんだよ。苦手なら出席数で点数稼ぎしとけよ、バカなのかよ。いや、バカだからこんな課題を出されてるのか。

そして差し出された課題に軽く目を通すが、どう見ても一哉には解けそうにない問題ばかりで頭が痛い。ていうか、普通にこれかなり難しいよね? お前、数学の今井になにしたの? 何をしたらこんな鬼難易度の課題出されるんだよ。



「ね、俺には絶対に無理っしょ?」

「……す、少し難しいよね」

「でっしょ! あいつ、まじ性格わりぃんだけど。だから、手伝って?」



もうね、本当にクソ。
優しくて完璧なわたしが断れないのを知ってて、こういう事をするから一哉はウザいんだよなぁ。

そしていつもの様に笑顔が浮かべて、 "…わたしで良ければ" と軽く頭を傾げれば笑いを堪えつつ、ガッツポーズをする一哉に舌打ちをしたくなった。

あぁ…なんで真に頼まねぇんだよ。いや、理由はハッキリとわかるんだけどさ。数学の今井は、わたしを可愛い可愛いと酷く贔屓してるし。だから、わざとわたしに手伝って貰ったって今井にアピールしたいんだろうけどさ。

やっぱり、理由がクズなんだよなぁ。

しかも今井に手伝わなくていいとか言われた時に、わたしが可愛く申し訳なさそうに "原くんが困っていたから…" とか言えば、今井はなんも言えなくなるし。

…こいつまじでさぁ。言っちゃなんだけど、猫被りのわたしの使い方が上手過ぎるんだよなぁ。そしてわたしは、大変遺憾である。

とりあえず、真にも話が行ってるだろうし一哉は真に怒られるだろうけど、真は絶対に手伝わないだろうからね。

結局、わたしが苦労するんだなぁ!!

キレそう。

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