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※想定内の出来事から少し繋がってます。
「志波千夏さんが…亡くなりました」
学校に着くなり教師に呼び出され、バスケ部のレギュラーが集まるまで待たされた挙句、聞かされたのはそんな教師の言葉だった。
僅かに声を震わせながら、俺等を見つめる教師に更に頭が混乱した。
「…っ、は? なんの冗談?」
「冗談なら…どれほど、よかったか」
「千夏が…って、何があったんだよ!」
「……一体何が」
「…それをお前達に話す為に呼んだんだ。だから、お前達も…なにか、知ってる事があったら…頼むから話してくれ」
▽▲▽▲▽
教師がひと通り話し終わったのか、肩を震わせながら必死に呼吸を繰り返した。そして、ゆっくりと顔を上げるとみっともないくらいぐちゃぐちゃな顔で涙を流した。
「どうして…どうして、志波みたいな生徒がっ…!」
「……もう、報道はされたんですか」
「っ、花宮!!」
「黙ってろ」
「…そろそろ報道される、頃だ。大丈夫だ…お前達の事は先生達が守る。だから…こちらから連絡があるまでは家で待機してて欲しい」
「わかりました。なら、早めに帰らせて貰います。話して下さって…ありがとうございました」
ゆっくりと立ち上がり頭を下げてから部屋から出ると、後を追うように他の奴等も部屋から出て来て俺の後を追ってくる。
…… 千夏が死んだ?
どう考えても教師がそんな冗談を言うわけが無い。それに昨日の千夏の様子を事細かに聞いてきた辺り、まだまともに何もわかっていない状況なのがわかる。
「っ、花宮…さっきの話」
「本当だろうな。現に千夏とは昨日から連絡が取れてねぇだろ」
「…体調が悪いから寝てるだけじゃねって、」
「仮に寝てたとしても、朝になっても返信しねぇ様な奴じゃなかっただろ」
「……で、でもっ」
「原…。とりあえず、帰ろう」
まだ状況が飲み込めていない原が縋るように俺の制服を掴むが、振り払う事もその腕を掴むことも出来ない。
俺だってまだ受け止められてねぇよ。
……ふざけんな。
そして徐ろにスマホを取り出して耳に当てる古橋に健太郎が酷く辛そうな顔をして、首を振りながらスマホを下ろさせた。
健太郎も冷静に見えるだけで、まだ現実を見たくないのか必死に俺等を落ち着かせようとしているのがわかる。だが、そんな健太郎の隣で既に全てを察した様子のザキが小さく震えていた。
「っ、…俺、たちのせい…じゃねぇか」
その言葉と共にポタリとザキの涙が床を濡らした。
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