日常編 | ナノ
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康次郎、一哉に続き…今日は弘の誕生日である。そして例の如く誕生日プレゼントは、適当に用意している。

むしろ、あいつ等の中ではまともな部類なのでそれなりに普通のモノを用意した。当たり障りのない、フェイスタオルである。マジで無難、すげぇ無難、まさに弘って感じである。

尚、デザインは "イケメン滅びろ" と書かれている前衛的なモノである。だがしかし、よく弘が言っている言葉なので最高にピッタリである。

で、珍しく弘が朝練に来なかったので仕方なく放課後に渡そうとしたのだが、弘の様子がおかしい。いや、正確に言うといつもよりおかしいと言うべきか。

やたらと一哉に絡まれているのはいつも通りだが、どう見ても覇気がない。というか、なんか疲れきっている。

正直、誕生日だからといって弘は真や一哉みたいに騒がれる程ではない。まぁ、それなりに祝われたりはするだろうけど、その程度の筈なので…誕生日疲れではないとは思うけど、なんだか様子がおかしい。



「ねぇねぇ、健ちゃん」

「ん…なに?」

「弘、なんか変じゃない? なんかあったの?」

「ん〜…俺も詳しくは知らないけど、朝になんかあったらしいよ。だから、朝練に来れなかったとかなんとか」

「なんかとはなんだ」

「えぇ…知らない。なんか原が騒いでたのを軽く聞いてただけだし。ザキ本人に聞くか、原に聞いてみれば?」



完全おねむ状態の健ちゃんは、物凄く面倒臭そうに答えると再びアイマスクをしてしまった。なんというか、相変わらずである。

とりあえず、まだ部活中だしなぁ…いや、だからこそだな。可愛くて、みんなを気遣う優しいマネージャーは部員の異変に気付くのが当たり前だよなァ!?

あからさまに様子がおかしい訳で、優しいマネージャーであるわたしが心配して声を掛けるのは何もおかしくはない。むしろ、わたしの株も上がるし一石二鳥である。わたしの株とか元から最高潮だけどな!!

そして物凄く心配そうな顔をして弘に声を掛け、無事に部室に連行成功である。なんか一哉が "千夏に頼んでみなよ〜" とかなんとか言ってたが、弘は終始無言だった。



「で、何かあったの? 朝練も来なかったし、なんか疲れきっているし」

「いやっ…」

「一哉、連れてくんぞ」

「…わ、わかった。ちゃんと話すからアイツは呼ばなくていい、余計に面倒臭くなる」

「草」



どんだけ一哉は厄介なんだよ。
いや、気持ちはわかるけど。

で、弘がポツリポツリとここ最近の出来事について話始めた。


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