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ボソボソと覇気の感じられない声色で話しながらも、きちんとデータを書き込んでいる千夏に少し呆れつつ、更に質問をする。
「千夏は、どうしたいの?」
「別にどうも?」
「なるほどね」
「いや、なにがなるほどなのか意味がわかんないけど」
「とりあえず、そろそろ俺の番が来るみたいだし戻るよ」
「はいはい」
思ってたより深刻な様子の千夏に、此処で話すような内容でもない事なのと…花宮からの刺す様な視線に早々と話を終わらせた。
そして自分の番が来るのは事実なので、花宮の元へ向かうとあからさまに機嫌が悪そうな花宮が俺を見上げる様に睨んだ。
そんなに睨まれても、俺は何もしてないし。そもそも、花宮はもう少し素直に千夏を心配してあげればいいのに。
「で?」
「物凄く厄介な方向に病んでるみたい」
「チッ…2日前くらいから様子がおかしいとは思ってたが」
「正直、体調が悪いのかなって思ってたもんね」
「ここ最近、ずっと雨だから余計に病んでんだろ。あいつ、雨嫌いだしな」
「なんでか梅雨は平気なのにね」
やっぱり、千夏の変化に敏感な花宮も千夏の異変には気付いてたらしい。まぁ、俺と同じで体調が悪いのかな程度にしか思ってなかったみたいだけど。
そして最近の天気と、千夏の周りの状態について花宮と話をしてたんだけど、確かにちょっとタイミング悪く色々と有り過ぎたのかもしれない。
進路関係の話、親御さんの話、成績の話。
いつもなら気にせず適当に済ませてた事だけど、今回はタイミングが悪かったみたい。
「そういえば、テストの順位も少し落ちてたね」
「正直、毎回5位以内の奴が今回たまたま6位になったところで大した事じゃねぇけどな。まぁ、教師達はそうは思わなかったみてぇだが」
「先週は部活が忙しかったしね。それで進路関係と成績関係で色々と教師に言われて、更には親御さん関係ってなれば千夏もパンクするだろうね」
「そういえば、留学の話も出てたみてぇだしな。まぁ、あいつはキッパリ断ったらしいが」
「ちょっと千夏、振り回され過ぎじゃない?」
「それこそ今更だろ。その結果、色々なモノが重なって自分が自分でわからなくなってんだろ」
正直、千夏の家庭事情についてそこまで詳しい訳じゃないけど…色々と複雑なのは知ってる。両親の代わりに祖父母のお世話になってたとか、その祖父母に楽をさせたいから霧崎を受けたとか…1人暮らしをする事にしたとか。
まぁ、一言で言えばずっと誰かの為に自分で自分を作ってたって感じだよね。
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