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スマホを弄るフリをしてフェンスへ寄り掛かっている男の前を健太郎と古橋と一緒に無言で通り過ぎる。
チラリと俺等に視線を向けたが、すぐにスマホへ視線を戻し…更には公園の中を伺う様に視線を送っていた。
そしてそのタイミングで原の声が聞こえ、すぐに公園の入り口へと戻る。
「はーい、静かにしてねん。××大学1年生の篠原くん?」
「なっ…え、なんでっ…君は」
「ダメじゃーん。毎日、女子高生の後を付けるなんてさぁ…あんた、ストーカーって知ってる?」
「ち、ちがっ…違う! 僕はただ、彼女にお礼がしたくて…声を掛けるタイミングを」
「ふはっ、仮にそれが本当だとしても、後を付けていい理由にはならねぇんだよ」
「現に俺等は、ストーカーされてるって相談されたからね」
原に肩を掴まれてヘラヘラと笑いながら、個人情報を突き付けられた上にストーカー呼ばわりをされた男は顔を真っ青にしながら、必死に弁明しているが…ただ言い逃れようとしているだけだろ。
そしてザキから "今、裏の出入口から出たからそのまま送って来る" と連絡が入り、ゆっくりと男に視線を移す。
相変わらず、公園の中を気にしている様子の男はいつ千夏が出て来るか気がきじゃないんだろうな。まぁ、あいつがここから出て来る事はないんだがな。
「ま、どんなに言い訳したところで俺等は聞く耳持たないし、興味もないんだけどねー。ただ金輪際、彼女に付き纏わないで欲しいんだけどさぁ。わかるー?」
「…き、君達は、彼女とはどんな関係なんだよ!」
「ふはっ、さぁなぁ?」
「1つ言えるのは、あんたには一生理解出来ない関係だって事だろうな」
「っ、くそっ…!」
「あっ! 次、あいつの周りちょろちょろしたら容赦しないからねーん。篠原くーん!」
俺等を突き飛ばし、逃げる様に走り去って行く男に無駄に明るく圧を掛け、わざとらしく声を張り上げる原に健太郎が苦笑いを浮かべる。
学もある、顔も悪くねぇ。
だが、頭は余り良くねぇみてぇだなぁ。
そもそも、 "次" なんて必要ねぇからな。どのみち、あいつは二度と千夏の前に姿は現せないだろう。
「普通に真正面から声掛ければ、優等生な千夏には仲良くして貰えたかもしれないのにね、可哀想に」
「それはそれで草」
「それで、暫くは様子見をする感じでいいのか?」
「んーん、俺が手回しといたから普通に諦めると思うよ。逆に、また来たりしたら尊敬するわ」
「なるほど、本物の愛を見れる可能性も有ると…見物だな」
「そんな事になったら草生え散らかすわ」
まぁ、念には念を入れて暫くは1人で帰らせるのは控えさせるか。それでもなく、あいつには敵が多いからな。
まぁ…千夏の場合、俺等のとばっちりが主だろうが…あいつもあいつで、知らないところで恨みを買ってるからな。
そしてザキから連絡が来るまで、4人で適当に時間を潰した。正直、帰りたかったが…まぁ今更だったからな。
※ザキと帰宅中
(お腹空いたなぁ。夕飯どうしよう)
(ポテト食ってたじゃねぇか)
(あれは夕飯ではない)
(それは確かに)
(弘はなに食べたい?)
(今日は、丼もの食いたい気分)
(あー、イクラ丼食べたい)
(随分と贅沢だな!)
(ねぇねぇ、どっか寄ってかね?)
(…いや、送るから帰れよ)
(家には卵しかないんだ)
(なら玉子丼でいいじゃねぇか)
(丼ものに限定されてて草)※思ったより呑気な2人であった。
そしてヒロインのセコムは凶悪です。
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