日常編 | ナノ
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不満そうにザキと原に連れられて店を出て行く千夏を見送りつつ、例の男の様子を伺えばこちらを気にしつつも席を立ったのが見えた。

…はぁ、面倒くせぇ。
数日前からクラスの奴等から校門近くで千夏を待ってる奴がいて、千夏の後を付けてるっぽいと何人かに報告されていた。

そもそも、俺等が千夏から言われるまでそんな奴の存在に気が付かない訳がねぇだろ。

もちろん、千夏から何か言って来ない限り、俺等は知らないフリを続けるつもりだったが…まぁ、さすがにあいつも女だからな。

原達には、もし相談されたら適当に答えとけって言っておいたが…彼氏役は却下だ。後が面倒臭い上に、相手が納得しない場合もあるからな。

で、1番早いのは…相手の身元を割って脅すのが確実だ。



「さすがにストーカーされてたのは知ってたけど、いつの間にそんなに調べてたの?」

「あ? 詳しくは原に聞け。俺はあいつが利用するバスと時刻と見た目しか教えてねぇよ」

「相変わらず、原の情報収集力は恐ろしいな。ちなみに俺は、花宮と千夏のカップルのフリが見たかった」

「ふざけんな、しね。誰が、そんな面倒くせぇ事やるかよ」

「あ、原から居場所のピン来たよ。んー、いつもより人気のない帰り道で帰ってるみたいで、バッチリ後ろにいるって」

「よし、行くぞ」



まだあいつ等が店を出て行ってから10分も経ってないが、すぐに後を付けて店を出て行ったからな…まぁ、尾行には慣れてねぇんだろうな。

俺ならターゲットが1人じゃない場合は、色々とリスクが跳ね上がる可能性を考えて尾行は諦めるのが…まぁ、ターゲットとの関係性を探りたい可能性もあるか。

そして残りのコーヒーを飲み干してから、俺等も店を出た。


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そしてわざとちんたら歩いて時間を掛けているお陰で、数分でストーカー男に追い付いた。更に前からは、無駄に大きな声で騒いでいる原の声が聞こえてくる。

そのせいで、男は俺等の足音に気付かない。もちろん、俺等も出来る限り静かに歩いてはいるが…こんだけ人気のない道だといくら気を付けていても足音が増えた事には気付くだろう。まぁ、それも原の煩さで誤魔化しているから問題はないが。

そして暫くして原から "入るからね〜" と連絡が来て健太郎と古橋に無言で合図を送り頷いた。


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