日常編 | ナノ
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あぁ、気分悪い。
さっさと帰ってゲームやろ。

横腹を押さえながら、痛みに耐えている一哉を無視してスタスタと歩き出す。

本当に一哉といるとろくな事がない。ていうか、なんであんなクソクズ野郎がモテるのか理解に苦しむ。

私利私欲で女を喰い物にしてる正真正銘のクズ男なのに、まじで意味がわからない。尚、年上からも人気の模様。

……うん、一哉が云々よりただ単にバカが多いのかな。

とかどうでもいい事を考えていたら、ガバッと後ろから覆い被さられて危うく前につんのめって転びそうになった。



「ごめんてー」

「許さねぇ」

「夕飯奢るからさぁ。マジバだけど」

「…絶対に許さねぇ、しね」

「えぇ…どんだけ怒ってんの? まさかの生理?」

「……ほんと死んで」

「ちょ、やめてもう殴らないで」



オーバーリアクションで怖がる振りをする一哉に、もはやイライラを通り越して無感情になってきた。

もうこいつに構うだけ無駄だ。
早く帰ってゲームをやろう。

そして一哉を無視して歩き出した訳だが、何故かめげずに後を付いて来る。もう本当に面倒くせぇな! お前はよぉ!!



「付いてくんな、ストーカーかよ」

「だって、千夏ちゃんが機嫌直してくんないから」

「誰のせいだ、誰の」

「もーう、ほんと千夏ってば俺の事だいすきじゃん。そんなに俺の事で怒るとかさぁ」

「お前、頭湧いてんの?」

「ほら、すぐムキになるじゃーん。やっぱり大好きじゃん」

「1回病院に行って脳みそ摘出して貰った方がいいよ」

「え、死んでもすきって事? 重過ぎて引いた」

「むしろ、話が通じなくてこっちが引くわ」



はぁ…もう、本当に面倒臭い。

まぁ、一哉が面倒臭くてウザいのは今に始まった事じゃないし。クソだしクズだしゲスだし、最高のゴミカス野郎だからね仕方ないね。

ていうか、本当に悪いと思ってない辺りが本当にクソだよね。むしろ、楽しんでるからねこいつの場合。

もちろん、わたしもそういうタイプだから人の事は言えないが…その面倒事に自分が巻き込まれるのはNG。傍観したいだけだから、その無様で可哀想な奴等を見てたいだけだから。わたしは出演しなくていいから、いやまじで。



「つーか、あの女が悪いんだってぇ」

「いや、知らんけど」

「マネージャーがいるか聞かれているって答えたら、バスケ部辞めろとか言い出すし。しまいには、マネージャー辞めさせろ的な?」

「まじもんのやべぇ奴で草」

「で、バスケ部は辞めないしマネージャーも辞めさせないってなって。で、なんでマネージャーを庇うの? みたいな話になって、面倒臭いからお前要らないわ〜みたいな?」

「まじで1回くらい刺されればいいのに」

「正当防衛で逆に刺し殺すから」

「過剰正当防衛で草」



まぁ、女の方にも問題はあるけど…間違いなく火に油を注いだのは一哉なので、責任を持って刺されろよ。

いや、でもまぁ…もうね、一哉だから仕方ないねで済む辺りがまじでクソだよなぁ。

別に女遊びをやめろとは言わんけど、とりあえずわたしを巻き込むのやめろや。前もセフレの女にいちゃもん付けられたし。

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