日常編 | ナノ
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そして何故か、わたしの方を見ながら溜め息を吐く一哉に蹴りを入れたくなったが必死に我慢した。

なに人の事見て、溜め息なんか吐いてんだよ、殺すぞこのクソが。



「で? なんで千夏に文句言ってんの? もうお前に関係ねぇじゃん」

「なっ、…だ、だって…、私から一哉くんを盗って…」

「そもそも俺、お前と付き合ったつもりねぇけど?」

「えっ…? だ、だって…デートだってしたし、他にも色々っ…」

「何回かヤったくらいで彼女面とか有り得ないんだけど。お前が勝手に舞い上がってただけっしょ? つーか、タイプじゃねぇし」



…おいばかやめろ。
相変わらず、クズ過ぎて吹き出しそうである。ていうか、ここ校門前だからな? そんな事を堂々と言ってんじゃねぇよ、バカかよ。あ、バカだった。

そしてまさか、愛しの愛しの一哉くんからそんな事を言われるとは思っていなかった様で、女は目を丸くして固まっている。

ていうか、わたし帰っていいですか? 周りからの視線もそうだけど、色々と面倒臭いんで。ちなみに周りからは、わたしを批難する声など聞こえず、絶対に言い掛かりだよな…とか心配する声が聞こえてくる辺り、やっぱり猫被りって素晴らしい。



「っ、は…初めてだったのに…ひ、酷いっ…」

「は? 確認したじゃん、いいの?って。 で、いいって言ったのそっちだし、もっとって言ったのお前じゃん」

「なっ…、」

「ていうか、そういうのまじでダルいし。もう付き纏わないでくれる? それと千夏にちょっかい出したら許さねぇから。千夏行くよ」

「え、あっ…うん」



おい、本当にわたしに気がある様な事言うのやめろや。周りから、また原くんが志波さんを口説いてるとか言われてるから! もはや、何度目かわからないけどまたクソ面倒臭い事になるから!!

そしてわたしの腕を引くと、元カノ改め可哀想なセフレ以下の女を置いて歩き出す一哉であった。

いや、もうまじでクソ。
巻き込まれ事故だよ。

で、暫く無言で腕を引かれて歩いた訳だが…



「ほんと1回しんで」

「ちょ、猫被り声で言わないでクソ怖くて笑う」

「しね」

「ごめんてー。大体の奴は、千夏の名前出せば諦めるからさー」

「諦めるどころかストーカーになってんじゃねぇか、ほんと1回死んでくれ」

「いやぁ、やっぱり処女は面倒臭くてダメだよねん。一哉くん失敗失ぱっ…いた!!」

「刺されてしね」



そして悪びれた様子もなくふざけた事を抜かす一哉の横腹を一思いに殴った。

もちろん、後ろから誰かが見ている可能性を考えて見えない様に殴りましたとも。おまけでとびきりの笑顔も添えてな。

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