日常編 | ナノ
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「で、本当に付いて来るとか物好きですよねー」

「いや、もう暗いし危ないやん。ちゅーか、この時間帯に墓参りって怖くないんか」

「1番怖いのは人間なんで。お墓参りくらい余裕ですね」

「そりゃあそうやけど、怨念やらであんな事になったんやで?」

「生き物はみんな無い物ねだりですからね。周りを憎んだり妬んだりしないとやってらんないんですよ」

「…せやなぁ」



正直、余り日没後にお墓参りはしない方がいいって言われてるけど…まぁ、大丈夫でしょ。ていうか、閉園しないタイプの霊園で感謝。

無縁仏の前にしゃがみ込み、コンビニで買った線香で悪いが火をつけてまとめて寝かせて供えた。

ほら、優しい千夏様が来てやったぞ。地獄に落ちろとは言ったが、まぁ…あんたの場合はよくわからんからね。

とりあえず、挨拶だけね。
次に呪うなら父親だけにしろ。



「……ん、満足です」

「ほんまに線香だけなんやな」

「当たり前じゃないですか。そもそも、わたしが来てやっただけ有り難いと思って欲しいですね!」

「せやな。千夏が来なかったら一生、誰もあのクローンの為に手合わせに来んやろうしな」

「まぁ、肝心のクソ研究員もいないですしね。ま、あっちは拝むどころか墓石蹴り飛ばしたいくらい腹立ってますけど!」

「こら、バチ当たんで」

「しないですよ! ただ、そのくらいムカついてるって話です。それに詳しくは知らないけど、親の仇ですからね」



別に今更、親を殺されたから復讐してやるとかはない。ていうか、相手も既に死んでるし。

それに正直、あんまり親とか覚えてないし。まぁ…色々とあって、お祖母ちゃんに写真を見せて貰った時にはもう既に全く覚えてなかったからね。

そもそも、両親がいないのが当たり前だったし。…途中からはお祖母ちゃんとお祖父ちゃんと一緒だったから、別に不自由もなかったし。

むしろ、お祖母ちゃんとお祖父ちゃんには迷惑掛けっぱなしだったから…今の一人暮らしの方が気が楽だったりする。



「…ま、これでスッキリしたか?」

「まぁ、そうですね。付き合わせてすみません」

「えぇよ、好きで付き合ったんやし。それに花宮からも頼まれたしなぁ?」

「なにそれ詳しく」

「"俺等と行くとあいつは素直に手合わせねぇだろうから、行くならあんたが一緒に行ってやれよ"って、言われてん」



ツンデレかよ、キモいな。

いや、別に真達の前でもさすがに手は合わせますけど。むしろ、一哉の方がヤバそうだからね。あいつ、キレながら線香とか叩き付けそうだし。

でも、まぁ…今吉さんだから別に変に気使わなくて済んだし。横からちょっかいも野次もなくて、すんなりと済ませられたからいいかな。

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