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で、今吉さんに今日までにあった事を軽く説明した。ほら、警察が来たりとか…まぁ色々とあったからね。
「と、まぁ…こんな感じですかね」
「まぁ、警察関係は千夏の事やから大丈夫だとは思っとったけど、学校は大丈夫なん?」
「可愛くて優しい千夏ちゃんなら、クローンを作られても仕方ないね! みたいなノリでした」
「なんかの宗教か?」
「教師連中には、登下校は1人はダメだとか言われた挙げ句、送り迎えするとか言い出してまじで面倒でした」
「学校での千夏のポジションどうなっとんねん」
「これでも霧崎の姫で通ってるんでね」
「そこまで来ると教祖様やろ。霧崎怖いわぁ…」
まぁ、登下校とか送り迎えについては霧崎の王子こと猫被り全開の真が"俺等バスケ部が付いてるんで"とかなんとか言って、教師連中を納得させてた。
ちょろ過ぎわろた。
尚、登下校は1人である。
基本的に誰も付いてなくて草。
まぁ、真からバスケ部には防犯グッズが渡されてるし。そもそも、自分が可愛いのを自負しているので危ない道は歩かないし? 格闘技やってたのもあるから、そう簡単に何かあるはずはないんだけどさ。
ちなみにバスケ部に配られてる防犯グッズは、ラフプレーの報復がある可能性を考えたものである。もちろん、やり返すのは厳禁でブザーを鳴らして被害者ぶればいいのだ。相変わらず、用意周到でクソ笑う。
「他になんか変わった事とかはないんか?」
「え、いや、んん〜…。あ、2日3日くらいは包丁が触れなかったくらいですかね」
「あぁ…なるほど。まだ感触が残っとるんか」
「大分慣れましたけど、トラウマになる可能性があったのは最後のアレだけだったんで」
「怖い夢とかは見てへんか?」
「それは全然。だから、本当は夢だったのかな〜とか思ったりしますけど、こうやって今吉さんと会話してると夢じゃなかったんだなと再確認させられますね」
「せやなぁ。でも千夏は、ちゃんと夢やないって受け止めたんやろ?」
……なるほどなるほど。
やっぱり、今吉さんに会うのは失敗だったかもしれない。ていうか、真もそうだけどさぁ…そうやって勝手にわたしの思考を読むのやめてくんねぇかなぁ。
スッと出されたスマホの画面には、"クローンは人間と認識されるのか?"という文字と非人道的な産物がなんたらかんたらと書いてあった。
はぁ…真は、勝手に1人で行って来いとか主語なく言ってたけど。
「あのクローン、研究員と同じお墓やないんやってな。出生がなくて名前がなくて、生きてた証がないってだけで酷い話や」
「まぁ、クローンですし」
「で、あのクローンはここの霊園に埋葬されとるって話やで」
「わざわざ調べたんですか」
「可愛い後輩の為や。千夏、行きたかったんやろ? で、俺も一緒に行こうかと思ってな」
「なんでまた」
「花宮に一緒に行ったれって言うたんやけど、"俺等がわざわざ行くと思うか?"って言われてな。それもそうやなって」
いや、まぁ…そりゃあね。
むしろ、わたし達はほぼずっとクローンと対峙してたからね。もはや、宿敵レベルで殺り合ってたからね。
ていうか、一哉とか未だに根に持ってるからね。ネチネチしてやがる。
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