日常編 | ナノ
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…ふぅん。

そして高尾に案内されたというか、連れて来られたのは案外まともなカフェだった。



「ここ来た事あります?」

「いや、ないけど」

「よっしゃ! ならよかったッス」

「そもそも、さっき言ったクレープ屋も行った事ないからね」

「えぇ! いや、でも知ってる場所だと楽しみが減るんで!!」

「まぁ、わたし出不精だから知ってても行かないけどな」

「ぎゃはは! めっちゃそんな感じする!」



そして相変わらず、飽きもせずカラカラと笑っている高尾がメニューを差し出してくる訳だが。特に変わったメニューもないみたいだし、普通のカフェって感じ。

ていうか、カフェでお昼とな? いや、まぁ…わたしは別にいいんだけどさ。大丈夫なの? 普通に結構な値段するけど。ちなみに無駄に金は持っているので、最悪はわたしが払えなくもないけどさ。

そんな事を考えながらメニューに軽く目を通していると、高尾がスッと1つのメニューを指差した。



「これ、高尾ちゃんのおすすめ!」

「えぇ…パンケーキ? 女子かよ」

「いやいや! まーじで美味いんスよー!」

「ていうか、がっつり食べる気でいたわ」

「…ぎゃはは! いや、別にがっつりでもいいッスよ」

「うっせぇなぁ、お昼食べてないんだよ」

「あっ、そうだったんスね。なら、ハンバーグがおすすめッスよ〜!」



本当にがっつりなメニューをすすめて来たな。まぁ、普通にお腹空いてたので素直にハンバーグを頼みましたけどね。え? デートな上におすすめはパンケーキだって言ってるのに可愛いげがない? ははっ、わたしになに求めてるんですかね、バカかな?

そして暫くしてして、ほかほかのハンバーグプレートが運ばれて来たので、普通に手を合わせてからもしゃもしゃ食べ始める。

うん、普通に美味しい。
この柔らかさは手作りだな。

ちなみに高尾はお昼は済ませてたらしく、わたしにおすすめとか言ってたパンケーキを頼んでましたよ。お前が食うんかい。いや、別にいいけど。



「なんか今更ッスけど、千夏さんとこうしてちゃんと会って話すのって初めてッスよね」

「現実だとそうなるんじゃん? なに、自己紹介とかした方がいい?」

「ぶはっ! いや、それはいいッスよ。ただ、なんか不思議だなぁ〜みたいな?」

「お前が連絡して来なければ、あのまま関わる事はなかったはずなんだがなぁ…」

「ぎゃははっ! まぁ、第一印象はクッソ悪かったッスけど今はこんなに仲良いんスから〜」

「クッソ悪かったのかよ、笑った」

「クッソ悪かったッスね!! なんだあの可愛げもない性格わりぃ女…みたいな?」

「ぶはっ…やめろ、吹く」



いや、そこをオブラートに包む事もなく素直に言っちゃう辺りさすがだよな。もうね、普通に笑うからやめて欲しい。

まぁ、霧崎のマネージャーやってる訳だし元からわたしの印象が良い訳ないんだけどね。いや、だからって言い過ぎだろ…まじで草生える。

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