日常編 | ナノ
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わたしは、一哉の家庭環境に興味も無ければ、わりとマジでどうでもいいと思ってる。だって、それがわたし達との関係になんの影響があるんだって話だし。

そりゃあ、わたしだって幸せそうなヤツを見ればイラッとしたりモヤッとはするよ? ましてや、幼少期の幸せな話なんかされたら笑顔でぶん殴りたくなるくらいには腹立つよ。だけど、康次郎はそんな話してないし。そもそも、押し掛けたのお前だからね?

で、勝手にショック受けてダメージ受けただけだからね。つーか、軽くわたしもとばっちりでダメージ受けたからな、クソが。



「俺さ、親に誕生日とか祝われた記憶ないんだよね。そもそも、誕生日って事すら忘れられてる可能性あるし?」

「まぁ、あんたが家族と仲悪いのは知ってるよ。家に帰りたがらないし、外食好きだし、学校は嫌いだけど休まないし」

「俺がグレた理由話したっけ?」

「前に兄弟と比べられたとか言ってなかった」

「それ半分嘘。元からうちの親は俺に興味なくてさ、長男でなんでも出来る兄貴と病弱で手の掛かる弟が大好きで、なんも出来ない癖に元気だけある俺は邪魔だったんだよね」



まぁ、よく聞くヤツだよね。
わたしには兄弟がいないからよくわからないけど、兄弟で比べられて優劣付けられて〜みたいなヤツね。

特に詳しく聞く気はなかったんだけど、一哉が自分から話す分には別に問題はないので最後まで話を聞いてやった。

で、要約すると…

まぁ、小さい頃はそれなりに普通ではあったらしい。だけど、完璧で自分にも優しい兄貴が嫌いで、病弱の癖に自分に懐いてくる弟には早く死ねばいいとか思うくらいには、性格はネジ曲がっていたと。

ちなみに親は予想通りと言うか、思ってたよりクソだったのでスルーする。人様の親だけど、断言して言えるくらいにはクソだとは思った。



「で、あんたは今更そんな親に誕生日を祝われて嬉しい訳?」

「んなの気持ち悪くて吐くわ。つーか、そんなんこっちから願い下げだっつーの」

「はぁ…お前って本当に面倒くせぇヤツだよな。それでも康次郎を見て羨ましいって思っちゃったのが、腹立つんでしょ。つーか、あんた承認欲求の塊だし、独占欲も強いし、マジでクソ面倒臭い性格してるよね。更にクズだしゲスだしバカだし」

「言い過ぎだろ」

「事実だろ。だけど、それでもちゃんと誕生日を覚えててくれて欲しいって言ってた物をわざわざかって来てくれて、更には心配してくれるヤツがいるんだからまだマシだろ。つーか、お前は誰にでも高望みし過ぎなんだよ、ばーか!」

「ザキってマジでいいヤツだよね。マジで俺には勿体無いくらい」

「自覚あんのかよ」

「俺には千夏とか花宮くらいが丁度良いよね。何しても、悪いとか後ろめたいって思わねぇもん」

「こいつ、ぶっ飛ばしてぇ…」



まぁ、一哉は典型的な家庭環境で性格歪んじゃったタイプっぽいしな。もちろん、元からクズの素質はあったみたいだけど。

わりと幼少期から歪んでいたわたしや真とは、比べてはいけない。色んな意味で年期が違うぜ!

まぁ、だからわたし達なんかといるんだろうけど、お前はわたし達に執着し過ぎだけどな。そもそも、お前わたし達関係だとマジで見境ないからヤバいよな。

本気でキレたら何するかわからないタイプだからね、こいつ。


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