日常編 | ナノ
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正直、わたしも真と健ちゃんみたいに放っとけと言いたかったのが本音である。

だけど、流石にちょっと…ねぇ?
それにわたしの有難いおめでとうを無視したのも許せねぇよなァ!?

で、仕方なくわたしが部活終わりに一哉を強制連行してやったよ。その結果、真と健ちゃんはとても良い笑顔で手を振っていたよ。本当にあの2人クソ過ぎんだろ。

ちなみに弘は不安そうだけど、頼んだ! みたいな顔してた。本当になんでわたしなのか謎だけど、今回だけだからな! つーか、わたしの誕生日もわたしが欲しがってたもん買えよな!

康次郎は、うん。
まぁ、原を頼んだぞみたいな感じだった。本当にお前はブレないよね。やっぱり、ぶっちぎりで康次郎は頭おかしいと思うわ。



「で、なに? つーか、急に家に連れ込むとか意味わかんないんだけど。俺、これから女ん家行く予定あんだけど」

「うるせぇ、黙ってろ」

「…は? うざ」

「まぁ、帰りたいなら帰れば? 別に引き留めたりしないし、その女ん家に行けばいいよ。 だけど今後一切、わたしはあんたを気にしてやんないからね」

「…………」



マジで弘に感謝しろよな。

一哉の機嫌が悪い理由を軽く弘に説明したんだけど、そしたら… "千夏の方が原の気持ちがわかるだろうし、古橋ん家程じゃなくても俺ん家も家族仲は良いし…だから、アイツも千夏から言われた方が素直に受け止めると思うんだわ…" って言われた訳だ。

まぁ、この面倒くせぇヤツは間違いなく弘に八つ当たりするだろうし、家族で仲良しこよしのお前に俺の何がわかるんだよ、とか言って更に面倒な事になりかねないからね、仕方ないね。

ていうか、わたしもマジで詳しくは知らないからアレだけどさ…本当に複雑と言うか、一哉の言動や行動を見る限り…マジで家庭環境は良くなさそうなんだよなぁ。

更に弘の情報では、一哉は家で孤立してるらしいし。ていうか、弘には挨拶するのに実の息子はスルーみたいな? そもそも、会話してるところとか見た事がないとか言ってた。

いや、魔境過ぎんだろ。

そんな事を思いながら仕方なく、ちゃちゃっと準備をする。ていうか、面倒だからって買い物をしなかった結果…圧倒的に量がすくねぇ! いや、まぁ…わたしの分はいいや。冷食でどうとでもなるし、明日は休みだし。

そしてなんだかんだで帰らずにいる一哉を確認し、テーブルに料理を置いていき、ほかほかご飯とお味噌汁(即席)を出す。



「ん、あんたの思ってる御馳走でもなければ、わたしはあんたの親でもないけど、これはあんたの為に作った」

「………」

「あのさぁ、あの康次郎があんな普通で幸せそうな家庭で育ったってのが腹立つのはわかるよ。だからって、八つ当たりするのは違うでしょ。それとこれ、弘めっちゃ心配してたよ」



いくらわたし達の性格が元から悪くて歪んでいたとしても、少なからず育った家庭環境も関わっているとは思う。

それを一哉は当たり前だと思っていて、わたし達全員が何かしら家庭に問題があってこうなったと思ってた。

特にわたしと真に関しては、かなり特殊な上に結構複雑なのは知ってたし。

更に健ちゃん家はエリートだし、色々とあるだろうなって事は感じ取ってたんだろうね。まぁ…普通に健ちゃん家も家族仲は良いと思うけどね、それが健ちゃんからしたら面倒らしいけど。

で、あの死んだ目といい何もかも興味ない性格のせいで、正直康次郎の家庭が1番悲惨なんじゃないかと思ってたら…現実はアレだった訳で、一哉からしたら衝撃と言うか…まぁ、色々と思うところがあったと。

ちなみに多分だけど、弘の事はあんまり気にしてないと思う。ただ周りに影響されて、弘の性格クソになっただけとか思ってそう。

そして、黙ったままの一哉に弘から預かっていたスポブレが入った紙袋を投げ渡した。

本当に弘には感謝しろよ。


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