日常編 | ナノ
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なんかわたしだけ酷いヤツみたいな空気になって来たので、勢いだけで康次郎に誕生日おめでとうと伝えた。

別に誕生日おめでとうって言わなきゃならない訳じゃないはずなのに、なんでだ。



「あぁ、ありがとう」

「全く気にしてなくてキレそう」

「小学生でもあるまいし、誕生日くらいで一喜一憂しないだろう」

「それはそうだけどさ。ていうか、康次郎ん家って誕生日とかなんかすんの?」

「なにかとは?」

「いや、普通に誕生日会とか家ですんのかって事じゃね? 正直、古橋が誕生日会で祝われてる姿は想像出来ねぇけど」



ちなみにわたしは、おじいちゃん達に引き取られる前は一切なかったよ。そもそも、両親が生きてた頃とか覚えてないし。

おじいちゃんとおばあちゃんは、めちゃくちゃわたしの事を大切にしてくれたし、誕生日になると絶対にケーキ買ってわたしの好きな御馳走を作ってくれてたっけ。それを誕生日会って言うのかは、よくわからんけど。

まぁ、それも高校に入ってからはないけどね。かわりに、誕生日には絶対に電話をして来てくれるけどさ。本当にわたしには勿体無い人達だと思う。



「特に変わった事はしない、普通だ」

「御馳走を作って貰って、ケーキ食べる的な?」

「あぁ、プレゼントも毎年渡される」

「ガチのプレゼント? 現金とかじゃなくて?」

「うちもプレゼントは現金じゃないよ。ていうか、お金は欲しいって言えば貰えるし」

「弘は間違ってないよ、わかるよ、うん、わたしも今時の子は現金だと思うよ。健ちゃんと康次郎がおかしいだけだよ」



いや、健ちゃんはねぇ…まぁ家が家だし。めっちゃ金持ちだから、正直うちらとは価値観が違うのは仕方ない。

ていうか、お金は欲しいって言えば貰えるは草。そんな簡単に貰える子は少ないからね? いっつも、金がないって騒いでる弘と一哉を思い出して欲しい。

まぁ、わたしと真はまた違った意味でバグってるけど…流石に弘と一哉の方が親しみやすいわ。



「いやっ…おう、なんか俺が悪かった。で、プレゼントってなに貰うんだ?」

「去年は、鉢植えと小麦粉とヘアバンドだな」

「待って、めっちゃ待って! なにそれ、意味わからない物だらけで頭パニックだわ」

「え、古橋ってガーデニング好きだし、パン作りもするじゃん。ヘアバンドはちょっとわからないけど」

「いや、それは知ってるけどさ。えっ、親からのプレゼントだよね? わたしには、よくわかんけどそれって一般的なの?」



いくら子供の趣味だとしても、小麦粉をプレゼントってなに? え、わたしがおかしいの? 鉢植えとヘアバンドははまだわかるけど、小麦粉ってなに? 夕飯の買い物ついでに買って来る感じじゃん。

それともめっちゃ高い小麦粉とかそういう感じ? いや、そうだとしてもかなり変わったプレゼントだとは思うけどさ。


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