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で、簡単に纏めると。
シロは、黒幕によって召喚された悪魔らしい。で、黒幕に問答無用の呪いの魔術で縛られて、器探しの駒として "生け贄の聖女" としてこの館に配置されていたと。だから、自分の事を生け贄って言った訳だ。
で、その時に黒幕から "その魔術は、私には解けない。だから、無駄な抵抗はやめる事だ" と言われたらしい。
だが、シロは悪魔で人間なんかよりも魔術に詳しい訳で…普通に解除の呪文は知っていた。もちろん、無理に自分で抵抗しようものなら命の危機に晒される事も知っていた。だから、嫌々ながらも黒幕の駒として器探しを何度も繰り返していた。
その中で何度も人間に呪いを解除させ様としたが、まず呪いによってまともなコミュニケーションが取れず、自分の状態を説明する事も出来なかった。
その結果…人間には良い様に使われ何度も肉体は死んだらしい。そもそも、魔導書を解読出来る人間が稀だったとの事。
「僕の事を気に掛けてくれたのは、おねぇちゃんが…初めてだったから…嬉しかった」
「えっ…いや、まぁ…聖女の血が要らないのがすぐにわかったのもそうだけど、色々と知ってそうだったからね」
「それでも、僕を見捨てたり囮にしたりしなかった。今までの人間は、いざとなると僕を囮にして逃げたり無意味に魔物に差し出したりしたから」
ニコリと笑みを浮かべながら、嬉しそうに話すシロにちょっと恐怖を感じつつも、本当にわたしには敵意がないんだとわかる。
いや、正直…わたしはそこまで深く考えてなかったし、なんならシロを見捨てたり囮にしなかったのは、わたしだけじゃないじゃん? 確かに、全体的に扱いは雑だったし酷かったけどさ。
で、シロ的にはどうにもこうにも…わたしには死んで欲しくないし、だけど呪いは解きたいから自分と一緒に残って欲しいって事で、まぁ…真達があからさまに嫌な顔をしている。というか、あの顔は若干キレてるよね。
んー…他にも色々と気になる事はあるんだけどさ、
「シロの呪いを解けるのがわたしだけなのはわかるけど、わたしだけが残る必要ってある?」
「…どういう事?」
「わたしが1人で残ると、ブチギレながら死ぬとか脅してくる連中がいるんだよね。だから、わたしの他に残る人がいても大丈夫かなーって」
「……僕は、おねぇちゃんがいてくれれば他はどうでもいいけど」
「それとシロの呪いを解いたら、わたしを此処から脱出させてくれるの?」
「うん、すぐに元の場所に帰してあげるよ。契約じゃなくて、僕がしたくてする事だから代償は要らない」
あー、シロの言い方的にわたしは帰してくれるっぽいけど…他の人は知らないよって感じだなぁ。いやぁ、それじゃあ困るんだよなぁ。
それにまだシロが本当にわたしを帰してくれるか、わからないしなぁ。危害は加えないって言っても、帰す帰さないって話になるとまた違う訳だし。
うーん、難しいなぁ。
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