有能な生け贄 | ナノ
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わたしとは違って手加減なんてして貰えなかった真は、普通に首を押さえながら咳き込んでて…仕方なく背中を擦りながら真を今にも殺しそうな眼をして睨んでいるシロを見上げる。

…わたしの心配より真に敵意剥き出しかぁ。となると、



「わたしの為とか言ってたけど、ただ本当にわたしが死んだら困るってだけっぽいね。それでシロは、わたしに何をして欲しいの?」

「………」

「っ、大方…封印の解除に千夏が必要なんだろ。だから、わざと千夏だけに呪文を教えたんだろ?」

「…そうだよ。僕の封印は、おねぇちゃんにしか解除出来ない。だから、おねぇちゃんが死んだら僕はまたあの人間に縛られる事になる」



…あ、ふぅん…そういう。
だから、真を助けた訳ね? わたしが自暴自棄になって、死んだりしたら困るから。

普通に頭良いじゃん。
いや、逆に悪いな。

だって、真が仮に死んだとして…シロがわたしに "封印を解除してくれたら、助けられるかも" とか言ったら普通にわたしは封印を解除するだろうし。

正直、そっちの方が可能性あるくね? いや、一哉達がいるからそう簡単にはいかないか。



「でも封印を解除したらわたし死ぬんだよね?」

「……おねぇちゃんは、死なない様にするつもりだった」

「どういう事だい? 話によれば、封印を解除する代償は命だったのでは?」

「そうだよ。僕の封印を完璧に解除したらおねぇちゃんは、間違いなく死ぬ。だから、死ぬギリギリの精神力で使える呪文を教えた」

「なんで完璧に解除する方を教えなかったの? そしたら今頃は解放されてたでしょ」



なるほどなるほど?
わたしが死ななかったのは完璧な解除の呪文じゃなかったからで、中途半端にシロの封印が解けたのはわたしが死ななかったからって事ね。

そして素朴な疑問として、シロに問い掛けると何故か物凄く悲しい顔をされた。

いや、だって色々変でしょ。
別にわたしが解除するってわかってるなら、最初から完璧に解除が出来る方を教えとけばいいじゃん。あ、でも前にみんなを犠牲にしたくない的な事言ってたっけ? まぁ、あんまりよく覚えてないけど。



「……最初は、教えようと思ってたよ。だけど、おねぇちゃんはずっと僕の事を信じてくれて守ってくれたから…なんか、嫌だった」

「でもわたしが解除しないとシロは自由になれないんでしょ? そのままでいいの?」

「……だから、離脱の儀式後におねぇちゃんには一緒にいて貰って…精神力が回復したら徐々に解除して貰おうと思ってた」

「ん? 徐々にって事は、死なないの?」

「うん、死なないよ。完璧じゃなくてもある程度解除が出来れば、自分でどうにか出来るから。おねぇちゃんが少しずつ封印を弱めてくれれば、後は僕が跳ね返せるから」



…ふぅん?
つまりわたしは死なないし、シロの封印の解除も出来ると?

ていうか、今跳ね返すって言った!? え、つまりシロは黒幕に反撃が出来るんですか!? ちょっとそれは興味がありますねぇ!

だが、しかし今はそれは一先ず置いといて…。


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