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ザキから千夏がかなり取り乱して、激しく原と言い合いになったとか…色々と聞いた訳だが、本当にバカだなこいつ。
「俺は、千夏の気持ちも少しわかるからよ…あんまり強く言えなかったんだけど、原はやっぱり許せなかったみたいでよ…」
「当たり前だろ。何、自分だけ逃げ出そうとしてんだって話だろ。そもそも、こいつは変なところで諦めが早いんだよ」
「つーか、普通は自分が死ぬとか絶対に嫌だけどな。そりゃあ、誰かが死ぬのも嫌ではあるけどよ…千夏はちょっと過剰だよな」
「自分がとり残されるのが嫌なんだよ、傷付きたくねぇからな。自分でそこが弱いって自覚がある分、更に質がわりぃ」
別に千夏の気持ちも理解は出来る。残された方は、そいつの事を嫌でも考えちまうだろうし、思い出す。なのに、どうしたってそいつが居なくなった現実を受け入れなきゃならねぇ。それが親しい人間だったなら、尚更それが難しくて苦痛だ。
だから、そんな思いをするくらいなら自分が先に死ねばいいんだって考えが出てくるのもわかる。
まぁ、だからって俺等はそんな事を絶対に許さねぇし、させねぇけどな。
つーか、こいつ平気そうな口振りで話してたが…なんだかんだ言って幼少期の時のトラウマもすげぇんだろうな。
「千夏ってよ…自分を強く見せる癖あるじゃんか。1人で大丈夫、自分は何でも出来るみたいなさ。それってさ、色んな人に自分を認めて貰いたくてやってる訳でさ…なんつーか、俺等にまでする必要ねぇっつーか…」
「それ、こいつ本人に言ってやれよ」
「絶対に違うって言いながら殴られるじゃん」
「お前や健太郎の話なら、こいつだって聞くだろ」
「…せ、瀬戸に任せるわ」
「ふはっ、まぁ健太郎は健太郎で結構厳しいからな。確信付きまくり追い討ちかけまくりで泣かせそうだけどな」
「それは既に原がやったから、やめてやってくれ。つーか、少しは優しくしてやろうぜ…」
この場に原が居たらキレてそうだな。 "またザキはそうやって千夏を甘やす! だから、こいつはいつまで経ってもこんなクソなんだよ!!" とか言い出しそうだ。
まぁ、俺からしたら原も似たようなもんだけどな。
…はぁ、結局こいつ中心に物事を考えてる時点で俺も人の事は言えねぇが、俺は絶対に甘やかさねぇからな。
そもそも、リスクを背負うのはお前だけじゃねぇんだよ。こっちは死ぬ気でお前の脱出方法を探してやってんだ、そのお前が逃げてんじゃねぇよブス。
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