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っ、全身がいてぇ…。
重たい瞼を開けると自分の体が思う様に動かない事に気付き、記憶を遡るが…呪文を唱えて、魔術を使ってから…ギリギリ覚えているのは、真っ青な高尾達の顔だけだった。
その後の記憶が綺麗さっぱりない。というか、全く何も覚えていない。
…となると、緑間達が俺を運んだのか?
そして軽く視線を横にずらすと、何故か千夏がこちらを向いて泣きながら寝ていた。
…何してんだ、こいつ。
痛む体に鞭を打ち千夏の涙を指で掬うと、僅かに反応はしたが千夏が起きる気配はない。
そしてよく見れば、顔色も余り良くない。まさか、また魔術を使ったのか…こいつ。
そんな事を考えていると不意に扉の開く音がして、足音がゆっくりとこちらに向かって来た。この歩き方からして、ザキか。
「ん? は、花宮! 目が覚めたんだな!? 大丈夫か!? 俺がわかるか!?」
「…っ、うるせぇ…頭に響く」
「わ、わりぃ…。もしかして、体が動かねぇ感じか?」
「別に全く動かねぇ訳じゃねぇよ。で、何があった?」
「…は? え、いや…覚えてねぇのかよ? お前、無茶してまじで死に掛けてたんだぜ!?」
予想通り、部屋に入って来たのはザキだった。とりあえず、普通に隣で千夏が寝てんだから静かにしろ。それでもなく、こいつはまともに休んでねぇんだから。
仕方なく体を起こすが、激しい痛みに思わず顔が歪めるとザキがすぐに俺を支える様に手を貸した。
そして自分の状態を未だに理解していなかった俺は、ザキに何があったのかを詳しく聞いた。
「…へぇ、そうか」
「は、反応薄いな…」
「つまり、シロは俺等の味方ではないって言ったんだな?」
「えっ、おう。なんつーか、千夏だけは特別視してるみてぇだけど…」
「あ? それは最初っからだろ」
つまり、シロの目的が千夏の可能性がかなり高いって事だ。それに、千夏を "殺させないし死なせない" と言ってたって事は、シロにとって千夏が死ぬとかなり都合が悪いんだろうな。
しかも、どうやらシロはそこまで協力的な訳じゃねぇみてぇだからな。今も健太郎や今吉さん達がどうにかシロを丸め込もうとしてるらしいが、余り進展はないらしい。
で、次はこの隣で不細工な面して寝てる千夏についてだが…本当にこいつメンタル弱過ぎだろ。昔はもう少し余裕があったはずなんだが、前のがトラウマにでもなってんのか? まぁ、確かに…アレはアレで肉体的にも精神的にもかなり追い詰められてただろうからな。
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