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そして結局、シロにわたしを差し出す一哉である。もちろん、わたしはされるがままですけどね。だって、もはや体動かないし。
うっすらとシロが目の前にいるのはわかるけど、顔とかはよくわからなくて一哉に支えられながら立っているとスッとシロから両腕が伸びてきて、わたしの両頬に触れたかと思うと不思議な感覚と共に体がぽかぽかして、思わず目を瞑る。
そして暫くして、ゆっくりと目を開けると目の前には見知らぬ白い男がいました。
「…え、いや、だれ?」
「僕だよ、おねぇちゃん」
「………」
「体は大丈夫? 完全には回復出来ないから…まだあんまり無理はしないでね」
「え、あっ…うん?」
「それとあっちの人も助けないと、だよね?」
「っ! え、うん! どうにか出来るの!?」
とりあえず、目の前の白い男がシロだと無理矢理受け入れて…クリアになった視界とある程度は動く様になった体にちょっとだけ驚く。
そして更にシロの言葉に驚いていると、シロはニコリと笑いながら頷きすぐに真の元に向かった。それに付いて行くと、何やら真の胸の中心部に手を翳していた。
…あれ? そこって確か、謎の呪文があるとか言ってた場所じゃなかったっけ?
そんな事を考えていると、シロがゆっくりとわたしの方を振り向き、またニコリと笑った。
「魔法石の力を借りるね。今の僕の力じゃ、大したことが出来ないから」
「…魔法石?」
「この人、人間なのに強力な魔法石を使ったから体が堪えきれなかったの。だけど、その魔法石のお蔭で助けられる」
「いや、こいつわりとまじでどんな無茶してんだ」
「それで魔法石でこの人が消滅しそうだったから、僕が無理矢理…形だけでも保ったんだけど。それしか出来なかった…おねぇちゃんの大切な人なのに、ごめんなさい」
「ううん、ありがとう」
…あぁ、なるほどね。
シロは、真だから助けたって訳じゃなくて "わたしの為に" 真を助けたって事ね。
正直、ちょっとどころかかなり驚いてるけど…シロは、どこかわたし中心に物事を考えてる気がする。もちろん、わたしの考え過ぎかもしれないけど。
だけど、やたらとわたしの傍に居たがったり…わたしの為だと言わんばかりに必死に発言したり、無茶したりしてるんだよね。
そしてパァッと真の胸元が紫色に光り、シロが何やら呪文を唱えると段々と光が弱まり、そして完全に消えた。
「おねぇちゃん、これでもう大丈夫だよ」
「…ん、ありがとう」
「うん。僕、おねぇちゃんの為に出来る事はやるからね」
「そっか、助かっ…」
「え、千夏!?」
あぁ…うん、ごめん。
なんか顔色が良くなった真の顔見たら安心しちゃって、気が抜けたわ。
そしてなんか珍しく健ちゃんが大きな声出してた気がするけど、わたしはそのままゆっくりと意識を手放した。
(…多分、安心して気が抜けた感じかな?)
(まじで心臓に悪いんだけど、キレそう)
(とりあえず、花宮の隣に寝かせておこう)
(本当に古橋は通常運転だよな…)
(それでシロ、色々話して欲しいんだけどいい?)
(……まぁ別に)
(うわ、一気に態度悪っ!!)
(おねぇちゃん以外に興味はない)
(は? なにこいつ、)
(ある意味、胡散臭さが強なったなぁ…)
(ですが、とりあえずは助けてくれましたし)
(…まぁ、せやな)※半覚醒のシロさん強い
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