有能な生け贄 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
17*(3/4)

▼△▼△▼

く、くそぅ…。

死にはしなかったが、まともに立っていられない程の脱力感に、両脇にいた一哉と弘に支えられながら、霞む視界の中でゆっくりと起き上がるシロを見つめた。

そして、シロがどういう訳が大きく見えるのはなんでだろうか? 遂に幻覚が見えるくらい無茶をしたって事ですかね。



「…お、おねぇちゃん? あ、れ?」

「ねぇ、これは判断ミスじゃね? どう見てもヤバイっしょ」

「…うん、やっちゃったかもね」

「え? なに…どうなってんの?」

「…おねぇちゃん、もしかして封印を解除しようとした?」

「え、うん? ちゃんと解除された?」



何やら良くない雰囲気の中、うっすらとシロがわたしに向かって来たのがわかるが…何故か、シロからわたしを守る様に一哉に腕を引かれた。

いや、力がまともに入らないわたしの腕をそんな勢い良く引くのはやめなさい。そして全力で一哉の胸にダイブする形で、抱き寄せられた訳だが…

全然、状況がわからないのだが? 一体全体何が起こってるんだね? そして、一哉はわたしを今すぐ離すべき。



「……本性、表したって感じ? つーか、やっぱり最初から千夏が狙い?」

「…へっ、なんの話? ていうか、何が起こってんの? 視界が霞んでて全然把握出来てなっ…んご」

「千夏は大人しくしてて。…で、質問の答えは?」

「…おねぇちゃんに危害を加えるつもりはないよ。だから、おねぇちゃんを離して」

「原、まだ千夏の事は捕まえててよ。ねぇシロは、俺等の味方って事でいいの?」

「………正確に言えば、どちらでもない。でも、おねぇちゃんは殺させないし死なせない」



……????
まじで意味がわからなくて一哉の腕の中で頭の中に、はてなマークを浮かべている。

相変わらず、一哉はわたしを離す気がない様で…むしろ、さっきより抱き締める力が強いんですが、それは。だからといって、暴れる気力は残っていないので人形の様に大人しくしてるんだけどさ。

そして健ちゃんが何がなんだかのわたしに聞こえる様に、今のシロの状態を説明する様にシロに質問を投げ掛けた。

……ほ、ほぉん?
つまり、シロが大人サイズになった感じ? そして更には、性別が女から男になってると。もうね、意味がわからねぇや。

え? ていうか、シロの封印は解除されたって事でいいの? とりあえず、良いか悪いかは置いとくとして。



「おねぇちゃんを回復してあげたいから、早く離して」

「回復? はっ…なに、マジで魔術使える様になったの?」

「…完全に解除はされてないから、まだ軽いモノしか使えない。だけど、今のままだとおねぇちゃんが衰弱死しちゃうから」

「…は?」

「おねぇちゃんとこの人とあの人が話してないなら知らないと思うけど、僕の封印の解除は代償が生命なんだ。だから今のおねぇちゃんは、ギリギリのところで生きてる」



…あ、やべっ。
いやぁ…まさか、シロにバラされるとは思わなかった。そして、シロの言葉に健ちゃん達が驚きの声を挙げたかと思ったら、めっちゃキレてて草。

尚、康次郎もクソ責められてますね。


prev / next

[ back to top ]