有能な生け贄 | ナノ
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真の傍らで、健ちゃんから真とシロに何があったのか話を聞いたんだけど…。

もうね、本当にバカ。
マジでクソバカ眉毛。
いや、本当に何してんの。



「つまり、死に掛けてた花宮を無理矢理シロが助けたって事? で、その反動か代償かでシロまで気を失った感じ?」

「まぁ、ざっくり言えば。でも花宮が無理してなかったら、緑間と花宮は死んでたっぽいから…まぁ、結果的には良かった感じかな」

「つまり、黒幕は花宮に目星を付けたと言った感じか? ピンポイントで花宮を狙っている気がするが」

「いや、高尾的には3階は全体的に雰囲気が異様で行かない方がいい感じだったって言ってたから、多分3階事態が罠だったんだと思う」

「…なんつーか、花宮にしてはらしくないよな。リスクが高いのを承知で行ったのだとしても、無謀っつーか…」

「それだけ花宮も焦ってるんだと思うよ。1番最悪なパターンをどうしても回避したいから、こんな無茶したんだよ」



…なんかもう頭が痛い。
チラリとわたしを見る健ちゃんに頭を押さえて、未だに意識のない真を見つめる。

いやね、わかるよ?
離脱の儀式をして、わたしが取り残されて、自分達だけが助かるかもしれないのが嫌だったんでしょ? だから、わたしが助かるかもしれない情報があるかもって、無茶したんでしょ? 危険だってわかってて、行ったんでしょ。

でも、やっぱりバカだ。
そんな事して、こんな事になるなら…無茶なんてしないでよ。もっと違う方法で探してよ。色んな意味でマイナスにしかなってないじゃん。



「花宮、前の時も本当なら千夏を最後にするの嫌だって言ってたし。正直、俺は花宮の気持ちが凄くわかるよ。俺が花宮だったら同じ事してると思うし」

「…わたしの事大好きかよ」

「いや、単に千夏のメンタルがクソ雑魚ナメクジだからでしょ。前ん時は、最後1人になってもすぐに終われたけどさ。今回は、そうはいかないじゃん。こんな場所で、脱出方法もわからないまま1人で残されて千夏は本当にどうにか出来んの?」

「…………」

「俺、千夏のそういう所まじで嫌い。いつもは自分第一のクセに、いざとなると簡単に自分切り捨てんのなんなの? いくら千夏がクソ自己中のクズだからってさ、流石に俺等の気持ち考えなさ過ぎじゃね?」

「おい、原…それは言い過ぎだろ。別に千夏だって、悪気がある訳じゃねぇんだかっ」

「は? 千夏の場合、悪気しかねぇよ。つーか、もし俺等が千夏みたいな事やったら絶対にキレんじゃん。なのに、自分は平気でやってんのわかってる? すぐ逃げんな」



…珍しくわたしに対して、マジキレをしている一哉に何も言えなくなる。いやだって、まじでその通りだし。

確かに、いつもなら自分第一で自分が一番可愛くて他の連中なんか知らんぷりだけども。

違うじゃん、今はそういうのじゃないじゃん。だって、死ぬかもしれないんだよ。嫌だもん、誰かが死ぬところなんて見たくないもん。

だったら嫌いだって言われても、お前等が死ぬところを見るくらいならわたしが先に死んでやるっていうね。

だって、やっぱり自分が可愛いし辛い思いしたくないからね。自己中だろうがなんだろうが、お前等が死ぬ可能性があるっていうなら絶対に回避するし、それに犠牲が必要ならわたしは迷わず死ぬね。

それをわかっている一哉は、それがどうにもこうにも気に食わない模様。いや、まぁ…わかるけど。


※ハラハラしてる外野
(初めてですね、あんな霧崎の方々は…)
(そりゃあ…花宮があぁなればな)
(花宮さんに無茶をさせたのは俺なのだよ…)
(やめとき、今はそこちゃうねん)
(とりあえず、霧崎の連中は休ませようぜ…)
(そうですね。少し気を張り詰め過ぎてますし)
(それとシロはどうなんやろなぁ…)
(目覚まさない可能性が高いッスかねぇ…)
(…だよなぁ、アレは相当な無茶してたよな)
(でも花宮さんはそれで助かったのだよ)
※やらかし花宮で大混乱

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