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そんなこんなで、健ちゃんと魔導書片手に色々と考察をしていたんだけど…バタバタと騒がしい足音に健ちゃんと顔を見合わせた時だった。
どうせ、真達が帰って来たんだろうとか軽く思っていた。
だけど、部屋に駆け込んで来た高尾達の姿を見て血の気が引いた。
「うっさ、何事〜…って、は?」
「花宮!?」
「死んではいないが、意識がないのだよ」
「…シロも同じ状態で意識がない」
「え、はっ? 何があった訳?」
「いや、俺等も詳しくはわかんないっつーか…」
ボロボロの緑間に背負われていたのは、グッタリとしたままピクリとも動かない真で…言葉より先に体が動いた。
ゆっくりと緑間が真を下ろし、すぐに真の呼吸を確認する。確かに生きてはいる…けど、どう見ても良くない状態なのがわかる。
顔色は青いを通り越して、もはや白いし。所々傷付いている体も無駄に冷たくて、柄にもなく動揺する。
え、なに…どうなってんの?
「……千夏、落ち着いて。まずは、話を聞かなきゃ何もわからないでしょ」
「わ、わかってる…けど」
「いやぁ…正直、俺も結構動揺してるわ。だって、あの花宮だよ? 誰が予想出来るよ、こんなの」
「…じゃあ、千夏達は花宮とシロに付いててあげて。俺は、話を聞いとくから」
「…ん、おっけー」
健ちゃんも決して動揺してない訳じゃないけど、多分…わたし達がそれ以上に動揺してるから落ち着くまでそこにいろって事だと思う。
今の状態で話を聞いたところでまともに頭が働かないだろうし。それに、今のわたしじゃ緑間達を無意味に責めてしまう可能性もあるし。
…ダメだ、思ったより精神的にキツい。いつもなら、怪我したり無茶するのはわたし達で…真は、無傷で後ろから指示してるはずだから…なんて言うか、絶望感が凄い。
そして何より、こんな真は見たくなかった。
「千夏、ちょっと退いて。もう少しまともな所に移動させるから。古橋、手伝って」
「あぁ」
「………」
「千夏、大丈夫だって…あの花宮だぜ? すぐに目覚まして、不細工な顔してんじゃねぇよバァカってお得意の憎まれ口叩くって…なっ?」
「いやぁ…千夏はさ、本当メンタル弱過ぎっしょ。死んでないんだから、泣くのやめろって」
…うるさいバカ。
必死にわたしを落ち着かせようとしてくれている弘と、呆れたつつも少し怒り気味な一哉に…なんかもうよくわからなくなって来た。
そのポジションは本当ならわたしで、真はピンピンしててくれなきゃ困るじゃん。マジで何してんの? わたしじゃ、真みたいに冷静に健ちゃんと一緒に色々と考えたり出来ないよ。
だから早く起きろよバカ眉毛。
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