15*(1/4)
花宮に言われた通りに千夏を見張る様に部屋の中で静かに待機してんだけど、全く起きる気配がなくて暇なんだけど。
まぁ、瀬戸もいないし? 俺等がやれる事なんて限られてる上に、俺等に出来る事なら他の連中にも出来るからやる事がないんだよねぇ。
正直、手伝う気になれば全然やる事はあるんだけど、俺等は千夏を見張ってなきゃだし。それに出来る事が俺等以上に限られてる連中から、出来る事を取り上げるのも可哀想だからねぇ。
「なぁ…今更だけどよ、なんで千夏だけ喚ばれたんだろうな。手違いにしては、不自然じゃね? 今吉さんや誠凛の奴等だって、桃井と相田といたみてぇだしよ」
「へぇ、ザキにしては色々と考えてんね」
「だって普通に変だろ」
「まぁ、確かに。ただ単に千夏の運が悪かった可能性もあるが、多少なりと引っ掛かる部分はあるな」
「まっ、前ん時も相手の目的は千夏だったしねぇ。だから本当は、生け贄で喚ばれたのは千夏で俺等がおまけだったり?」
「それに、あの謎の幼女が千夏に懐いてるのも気になるところだな」
「ていうか、あの千夏があっさり信用してんのも謎。たまに千夏って意味わかんない事言い出したりするから、千夏だからしょうがないかなぁ〜って思うけど、ちょっと違和感あるよねー」
珍しく無防備にグースカと寝ている千夏の髪を軽く弄りながら、色々と思っている事を口出す。
前回の時は、あからさまに千夏に敵意を持った異物がいたからアレだったけど、今回は逆に好意的過ぎるっていうかさ。どう考えても怪しいんだよねぇ。しかも、特に千夏に懐いてるって言うのも気になるし? まぁ、あんだけ塩対応してて俺等に懐いたら逆に怪しさ倍増するけどさ。
とりあえず、花宮から指示があるまでは下手に動くつもりはない。ていうか、口には出さないけど花宮が寝ている千夏を見張っとけって事は、それなりに理由がある訳で。ましてや、寝てるだけなのに3人で見張っとけってのも変だし。しかも、雰囲気的にも千夏を守っとけって言うよりは、千夏の行動を見張っとけみたいな感じだったし。まぁ…千夏がこれ以上、勝手に動いて無茶しない様にって可能性が高いけどさ。
「花宮が千夏の事疑ってる説あるくね?」
「…は? なんで千夏を疑うんだよ」
「今回の異物は、どう考えても千夏とあのシロって化物じゃん。で、その2人が無駄に一緒に居たがってんだから、そりゃあ疑いたくもなるっしょ」
「言い方はアレだが、一理あるな。正直、千夏が偽者だったり操られている可能性は大いに有り得る。現に花宮と瀬戸は、無意識に愉快な呪いを貰ってたらしいしな」
「愉快な呪いはさすがに草。ま、前回より色々と警戒しなきゃなんないのは確実っしょ。簡単に死にそうだし」
「…そりゃあそうだけどよ」
千夏が居る事に疑問はあるけど、千夏を疑いたくないせいで一気にテンションが下がったザキは本当に分かりやすい。
正直、前ん時より疑心暗鬼になるよね、コレ。
でも今は、やれる事をするしかない訳で…最悪の事態にならない様に警戒する事しか出来ないんだよねぇ。
シンプルに化物倒して脱出とかじゃない分、心労も半端ないし勘弁して欲しい。
prev /
next