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…いやぁ、不味いねぇ。
別にわざと長居をしてた訳じゃないし、それなりに手早く調べてたし、騒いだりしてたつもりはないんだけどなぁ…。
「間違いなく、部屋前でスタンバってますねぇ…」
「でも部屋には入って来ねぇんだな。葉山と一緒の時は、ドアぶっ壊して入って来たんだろ?」
「うん。だから、部屋に隠れても意味なくて廊下で吹き飛ばし大会してた」
「…つまり、化物は何故かこの部屋に入れない。だけど、私達がいる事には気付いてるって事?」
「そうなんじゃん? それにこの部屋のドアに書いてある文字と魔法陣が赤いのもなんか意味があるのかも。まぁ、今はそれどころじゃないんだけどさ」
ここが奥の部屋ってのもあるけど、化物の足音に気付いた時には時すでに遅し。見事に逃げられずに追い詰められた訳ですね、はい。
いやぁ、足音に気付いてすぐに部屋を出ればよかったんだろうけど、まだ全部を調べ終わってないし。焦ってこの部屋の物を持ち出したりしたら怖いしで、諦めました。
それに化物が部屋に入って来ないとかいう誤算と、まさかずっと部屋の前にいないだろうとか甘い考えの結果、部屋の前に居座られて袋の鼠になりましたとさ。ふざけんなよ、まじで。
だがしかし、別にこの部屋から決して出られないって訳でもないんだなぁ。それにちょっと気になる事もあるんだよね。
「なぁ、もしかして化物がシロを狙ってる可能性とかあるのか?」
「それ! さすが弘! よく気付いたな! で、囮になれれば最高じゃん?」
「…でもそれだとおかしくないかしら? 前の時は、シロと原くんを追い掛けずに千夏ちゃんと小太郎を追い掛けて来たんでしょ?」
「そうなんだけど、化物がまだ知能低いからみたいな可能性もあるじゃん。で、どうなのシロ?」
「…ごめんなさい。使い魔達が私を狙ってるかどうかは、わからない…です」
「んー、そうだな。そうなると、誰が囮をしても対して変わらないって事かな。あっ! もちろん、女子である志波さんは囮なんてしちゃダメだよ!」
…チッ、無駄に勘が鋭いな森山。まぁ、別に囮をやりたい訳じゃないし、いいんだけどね。
それにシロを狙ってるのかがわからない以上、色々と試すのも危ないな。確実にシロを狙って来るなら、色々と誘導とか出来たんだけど。まぁ、今の化物だと知能が低過ぎて判断出来んな。
「実渕と弘が囮で、その間にわたしと森山さんがシロを連れて逃げる感じで。実渕は、2つの呪文覚えてんだろ」
「まぁ、私を囮にするなんて! って言いたいところだけど、任せて」
「別に俺も使えるけど、俺はどうすりゃいいんだ?」
「弘は、実渕に何かあった時に動いてもらわなくちゃ困るから魔術は使わなくていい。もちろん、危険を感じたらぶっぱしていいけど」
「だが、どうするんだ? 実渕が魔術でって…ドアの前には化物がいる訳だろ? 対象を吹き飛ばす魔術でも、無理がある気がするが…」
んー! やっぱり森山は勘が鋭い様でそうでもなかった! やっぱり凡人は凡人なんやなって。
ちなみに当の実渕は、あっさりとわたしの意図を理解している模様。
まぁ…実渕もどちらかと言えば、わたし達側だし。そもそも、無冠はみんなクズでゲスだし。森山だけ話がわからないのも無理はない。尚、弘もちゃんとわかってるよ。霧崎内の良心ってだけで、弘もクズでゲスだからね仕方無いね。
(まず実渕が対象を拘束する)
(その間に千夏ちゃん達は化物を通り過ぎる訳)
(で、拘束が解けるギリギリまで実渕が離れて)
(化物を吹き飛ばすって感じよね)
(なるほど、了解した!)
(正直、拘束の効果が不安だけどな)
(全く動かない訳じゃねぇのか?)
(…どうなのシロ)
(相手によっては…解除される可能性もある)
(んー、ならわたしも援護拘束するわ)
(それでオッケーよ)
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