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しかも、そうなってくると…目の前にいる今吉さんも怪しく思えてくる訳で…
「ワシも疑っとるんやろうけど、無駄やと思うで。花宮や瀬戸みたいに発言力はないし、そもそも英語以外は読めんし」
「シレッと心を読まないで下さい」
「で、話を戻すんやけど。ワシは、千夏が1番危ないやないかと思っとる」
「いや、戻ってないです。急に別方向に行ってます」
「あんな、あの2人はシロの事もそうやったんやけど…やたらと千夏の名前も出してたんよ」
「………」
「まるで、千夏に近付いて欲しくないと言わんばかりの物言いやったで」
…ヤバい、頭が混乱して来た。
え、つまり? 真と健ちゃんは、よくわかんないけど…なんか対立してるっぽくて、わたしかシロが目当てみたいな感じって事?
となると、真と健ちゃんが黒幕側にいる事になるよね。いや、もう…まじてわけわかめ。
「…おねぇちゃん?」
「お、おう…なに?」
「…ちゃんと質問してくれれば、なんでも答えれるから…えと」
「……え? つまり、シロは質問した事しか答えられないの?」
「…うん。軽いものなら自分の意思で話せるけど、不利益になる事は…自分から話せない、だから」
「…なるほど。だから、自分から全然話してくんなかった訳ね。話さなかったんじゃなくて、話せなかった訳ね」
ずっと黙っていたシロがわたしの服を引くと、必死にわたしに何かを伝えようと言葉を選ぶようにして訴えて来て、ちょっとビックリした。
で、シロの話が本当だとしたら…かなりうまい話だが、嘘だった場合が怖過ぎるんだよなぁ。いや、でも…最初に嘘は付かないって言ってたんだよなぁ。
となると、もしかして嘘も付けない可能性とかない?
「シロは、わたし達の質問に嘘を答える事は出来る?」
「…出来ない」
「出来ない理由は? で、出来ないとしたら嘘を答え様とするとどうなる?」
「…そういう呪いを掛けられてるから。嘘を答え様としたら、声がでなくなるし…文字も書けない。だから、伝える事が出来ない」
「…じゃあ、本題。真と健ちゃんの身に何かあった? もしくは、何か起こってる?」
「……うん」
…まぁ、せやろなぁ。
申し訳なさそうに頷くシロの頭を軽く撫でながら、ゆっくりと今吉さんの方を見るといつも通りの胡散臭い笑みを浮かべていた。
いやぁ、変になったのが今吉さんじゃなくてよかったぜ。
正直、今吉さんの変化とか絶対にわかる気がしない。そもそも、今吉さんは元から変だしね仕方ないね。
とか、考えてたら "なーに考えとるん?" とニヤーと笑われてゾッとした。やっぱりこの妖怪がぶっちぎりで怖くて草。
(ちなみに真と健ちゃん以外にもいる?)
(…ううん、いない)
(あ、ならよかった)
(いや、よくはないやろ)
(今吉さんもとか言われたら震えてた)
(それはそれでおもろいやん)
(面白さは求めてないです)
(で、花宮と瀬戸はどういう状態なん?)
(シロ、詳しく話せる?)
(うん、大丈夫。ちゃんと話せる)
(よしよし、いい子だ)
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