有能な生け贄 | ナノ
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09*(4/4)

とりあえず、今はなる様にしかならないし。
警戒はしてるけど、多分いきなり襲い掛かってくる感じではないだろうから大丈夫だと思うんだよね。それに魔力だかなんだか分からないけど、今は封じられてる訳だし。ま、大丈夫っしょ。



「敵だとしてもこっち側に寝返って貰えばいいじゃん?」

「んな事出来る訳ねぇだろバァカ」

「悪魔は自分が愉しければいいから大丈夫大丈夫。いつもの真みたいなもんだよ」

「ぶっ殺すぞ」

「そもそも、なんか変なんだよねぇ。シロが生け贄の化け物だとして、何の為の生け贄なのかもわからないし。だから、まだ謎だらけなんだしそんな根詰めなくていいと思うよ」



それでもなく部活後だからね。
普通に忘れてそうだけど、わたし達部活後に拉致られてるからね。しかもお腹も空いてたし、まともに寝てないしでかなり疲れてるからね。

そんな状態でアレコレ考えても無駄無駄。前の時と違って、かなり環境が違うし。

まともに休まる気がしないけど、さすがに真も休むべき。というか、交代って話なのに一哉達がまるで起きる気配がない辺り、まじで疲れてるよね。

しかもいつもなら絶対に話し声で起きるのに、まじで全然起きないし。つまり、前よりかなり状態はよろしくない上に余裕も猶予もない。

だから、真が焦るのもわかるんだけど。いやぁ…らしくないねぇ。



「なんていうか、なんかあった?」

「あ?」

「いや、なんか真らしくない気がして」

「あ? 別に普通だろ」

「せやろか」

「そもそも、こんな状況で俺らしいもクソもねぇだろバァカ」

「それはたしかしたかし」

「しね、そして寝ろ」



真に僅かな違和感を感じつつも、まぁ…こんな状況だから仕方ないかと気にしない事にした。いやぁ…でもなぁ、なんか気味悪いんだよなぁ。

いつもの真ならわたしの心配とか絶対にしないし、そもそも口に出さないし。

んー、気にしない事にしたつもりだけどやっぱり腑に落ちないんだよなぁ。それにシロへの態度も露骨過ぎるし。

警戒してるにしても、さっきの誘導といい下手というか強引過ぎるし。敵対しちゃ困る相手なのに、ちょっと扱いが雑過ぎるっていうかね?

まぁ、わたしもこんな状況だからちょっとした事に敏感になり過ぎなのかもしれないけどさ。でも、まぁ…大丈夫か。

アレだな、きっと疲れて思考が死んどるだけだな。

そんな事を考えながら、隣でペラペラと本を捲っている真を見ていると、わたしの視線に気付いたのか真が不思議そうな顔をしながら頭を傾げた。

……いや、やっぱりなんか変じゃね?



(真、寝た方がいいよ)
(…は?)
(今すぐ寝るべき、いや寝ろ)
(テメェが寝ろよ)
(いや、わたしも寝るけど)
(俺は古橋が帰って来たら寝る)
(えぇ、本当でござるかぁ〜?)
(うっぜ…好き好んで起きてる訳ねぇだろ)
(なら、もう一哉と弘は起こしとく?)
(うるせぇからまだ寝かせとけ)
(寝る気ねぇじゃねぇか)
(お前もな)
(わたしはありますぅ〜!)

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