有能な生け贄 | ナノ
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で、申し訳なさそうに俯いているシロを物凄い顔で睨んでいる真に笑いそうになる。

なんてひでぇ顔をしてやがる。



「ま、仕方ないよね。無理はもんは無理だし、他を探すしかないっしょ」

「珍しく千夏が前向きな事を言っているな」

「だって、シロに頼れないのに無理言ったって時間の無駄だし。むしろ、すぐに解除してくれって言わなかっただけ、シロに感謝すべきっしょ。下手したら真辺りが死んでただろうし」

「…チッ」

「おい、舌打ちやめろクソ眉毛。とりあえず、全員が自分で魔術を使って帰るしかなくね?」



まぁ、真の気持ちもわからなくはないが…シロがこうして情報提供してくれてるだけ、まだ有り難いって思わんとやってらんないだろうに。それでもなくわたし達は、かなり絶望的な状況な訳だし。

とりあえず、今はやれる事をするしかないし。無理なもんは無理で、見切りを付けなきゃ無駄に時間を使うだけだからね。

そしてわたしは、早く寝るべき。なんで起きてんだよ、いい加減にしろ。



「おい、シロ」

「高圧的クソ眉毛で草」

「…なんですか?」

「今から古橋と一緒に、魔術の使用感についてとお前の封印の解除について今吉さんと赤司に話して来い」

「……わかりました」

「いや、普通にあの2人も寝てんじゃないの?」

「どうせ寝てねぇよ、特に今吉さんはな。おい、古橋頼んだぞ」

「あぁ、わかった」



そして不安な顔をしながら、部屋から出て行くシロと相変わらず無表情の康次郎を見送りつつ、相変わらず険しい顔をしている真の方を向く。

…まぁ、わざとシロを部屋から出したのはわかるけどさ。もう少しマシな理由にしろよ。絶対にシロも変だと思ってるよ、アレ。そもそも、真が後で話した方が確実だろうし。

と、まぁ…シロを追い出したって事は真なりに何か思うところがあったんだろうけどさ。



「で? シロに聞かれたくない話?」

「聞かれねぇ保証もねぇが、もう少しこっち来い」

「…へいへい。で、何をそんなにシロを警戒してんの?」

「あいつ、こっちから質問をすれば答えるが自分から話さねぇのが気になる。それとあいつがお前から離れない理由を考えてた」

「…ん」

「お前にまた前と同じ感じで重要な役割がある説…と、実はお前が既に生け贄であいつは生け贄であるお前を守ってる説。もちろん、ただ単にお前に懐いてる可能性もあるけどな」


んーんーんー。
なんとも真らしくない考えだ。

正直、わたしはそこまで重要なポジションじゃないと思うんだよなぁ。むしろ、またしても邪魔者の可能性の方が高いまである。だから、シロはわたしが余計な事をしない様に監視してるって方がしっくり来るんだよなぁ。そもそも、必要としてるのは女じゃなくて男の生け贄な訳だし。

多分、前の事もあるし…ここでは女の人がまぁ無惨な姿で死んでたのを見てるから余計なのかもしれないけどさ。

そして相変わらず難しそうな顔をしている真の眉間を指で押す。



「わたしは、逆だと思う。正直、シロがこっち側じゃなかった場合、1番危ないし重要ポジションなのは真だと思うよ」

「まぁ、その可能性も考えてはいたが」

「もちろん、私以外の全員が生け贄の候補だけどさ。特に真と氷室は危ないと思う」

「だろうな」

「多分、生け贄の器としては精神力ないとそもそも器として成り立たなさそうだし。それに知識もってなったら、間違いなく真じゃん」



見た目や性格は兎も角、魔導書使って悪魔やらなんやらを喚び出してる奴の器ってなると…最低限の精神力と知識は欲しいだろうし、そうなると第1候補は間違いなく真だと思うんだよね。

で、氷室と赤司辺りが第2候補かな。
いやまぁ、赤司はわたしの勝手な予想だけど。

そうなると、あんまりシロと関わらせるのも怖いし。わたしの傍に居たがるならそれでいいと思うんだよね。それに、真達にはあんまり探索はして欲しくないし。

前のわたしみたいに "最高の器だァ!" って、執拗に狙われる可能性もあるしね。


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