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なんだかんだで疲れていた様で俺と古橋以外は、あっさりと眠りに就いた。
が、何故か1番疲れていて寝なきゃならねぇ奴が起きてて大きな溜め息を吐く。
「…おい、寝ろよブス」
「なら話し掛けんなクソ眉毛」
「寝る気ねぇ癖になに言ってんだこいつ」
「何故か、目が冴えている。どうしてくれんだクソ眉毛」
「知るか。つーか、寝ねぇなら化物の様子と魔術の使用感を教えろ」
「寝かせる気ねぇじゃねぇか」
「うるせぇ、早くしろ」
まぁ、魔術を使ったからなのか興奮状態なのかは知らんが、さっきから寝返りを打ちまくりながら、険しい顔をしている千夏に話し掛けた。
そしてゆっくりと起き上がり、渋々といった様子でこちらに来る千夏は、やはりまだフラフラとしていて魔術を使った影響がまだかなり残っている様子だ。
で、使った魔術と化物の様子を思い出す様に不細工な顔をしながら話し出した。
「つまり、拘束より対象を吹き飛ばすが有効だったって事か?」
「そうそう。なんか拘束は、10秒くらいしか出来なかったんだよねー」
「だが、あの化物の動きを10秒止めるだけでもかなり有効な気がするが」
「それだけじゃないんだなー。なんと、対象から離れ過ぎると解除されるんだわ」
「…へぇ。だからあの騒音か」
「長い廊下まで誘き出して、端まで吹き飛ばして〜隠れて〜見付かって〜吹き飛ばして〜を繰り返してた」
思ってたより拘束の魔術の使い勝手が悪いな。確かに、発動したらずっと拘束が出来るとは思っていなかったが…拘束時間が10秒で更に距離に限りがあるとなると、吹き飛ばす方がまだ使えるな。
まぁ、その騒音が原因でもう1体も来たらしいが2体まとめて吹き飛ばせたみたいで、使い勝手は対象を吹き飛ばす魔術の方がいい。
で、次が問題だ。
「共食いって言うか、まぁ…なんか仲間割れみたいな? だから、余裕ぶっこきで腹拵え出来たんだけどさ」
「……おい、シロ。つまり、あの化物達は倒さない限り増え続けるって訳じゃねぇんだな?」
「…うん。強い奴だけが残るようになってるから、増えたら増えたで争うだけ」
「増え続けはないけど、化物は強くなる訳だからあんまり意味はないよね」
「それにこの屋敷は、どんだけ破壊されても勝手に修復されていくらしいしな。化物達からしたら、暴れ放題って訳だ」
…となると、ちんたらしてたら本気で手に負えねぇ化物だらけになるって訳だ。正直、今いる化物ですら倒すどころか時間稼ぎをして逃げ回ってるだけだからな。
それにシロの話によれば、知性を持つ化物も出て来るみてぇだし。今でさえまともに相手が出来ねぇのに、知性を持った化物となると…間違いなく死人が出る。
今の化物は、目に付いた相手に向かって行くだけの単純な動きしかしてねぇみてぇだし。それが、相手を狙って攻撃する様になったりしたら…どうにも出来ねぇな。知性と言っても、ある程度の囮に引っ掛かってくれるならいいが…そうはいかねぇだろうからな。
…それと、少し気になる事もあるしな。
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