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暫く経って騒々しい音と共に千夏と葉山が戻って来た。そしてセーターを袋代わりにして、担いでいる2人にもはや突っ込むに気にならなかった。
誰がそこまで持って来いって言った、バカかよ。
で、食料を下ろすと共に千夏が座り込み壁に寄り掛かった。
「はい、無事に食料確保して来ましたー。クッソ疲れた、死にそう」
「何回使ったんだよ」
「合計で7回」
「実は、途中まで俺がおんぶして運んだんだよ! 千夏ってば、ヘロヘロだったんだからー」
「おい、黙ってろ狂犬。余計な事を言うんじゃねぇ」
「いいから、テメェは氷室が寝てる部屋で休んでろ。古橋、運んでやれ」
「あぁ、わかった」
千夏の様子を見る限り、あいつの使える魔術の限界は10回前後だな。つーか、俺の予想より多く使ってんじゃねぇよ。
とりあえず、千夏と葉山が戻って来るのはわかっていた事だからいいとして…どんだけ暴れて来たんだよ、こいつ等。
セーターから出てくる食料の多さに正直引いた。1番重要な水分はわかるが、なんでこんなに食いもんまで持って来たんだよ。別に困りはしねぇし、むしろあるだけいいが…あそこまでヘロヘロになるまでやる事じゃねぇんだよなぁ。
やっぱり、あいつはバカだな。
「あ、ちなみに千夏と俺はあっちで食べて来たから大丈夫だよ!」
「…お前等は、もう少し緊張感を持て。どうせ、千夏の提案だろうが」
「そうだよ! 俺等が食べとけばその分、みんなに配れるじゃんって! 千夏ってば、頭良いよねぇ!」
「相変わらず、ブッ飛んでんな…女とは思えねぇな志波の奴」
「ぎゃはは! 宮地さんが引くレベルとか、さすが千夏さん!」
さすがに人数分とまではいかねぇが、全員に配れる程度には食料も水もある。お手柄だが、やっぱり千夏が当分動けねぇのは、痛い。
もちろん、文字が読めるって言うのもあるが…魔術が使えるとなると余計にな。それに何も言わず千夏に付いていったシロを見る限り、あいつは千夏と一緒じゃねぇと嫌だとか言い出しそうだ。まぁ、そんなの関係ねぇけど。
とりあえず、千夏に話を聞くのは食料を配ってからでいいか。それにそろそろ、普通に休まねぇと体がもたねぇしな。
「今は、必要最低限で配る。どうしても欲しいもんがあれば言え」
「まぁ…今は正直、食い気より寝たいってのが本音やけどな。最低限でええと思うで」
「…そうですね。特に霧崎の方達には、ゆっくり休んでいただきたいですね」
「テメェ等も寝れるなら交代しながら寝とけ。まぁ、地下にいる限りは大丈夫だとは思うが」
「おう、わかった。何かあったら、霧崎の部屋に行けばいいか?」
「それで構いませんよ」
そして適当に食料と水を配り、各部屋にて休む事になった。ちなみに千夏は、氷室と一緒に空き部屋にいる訳だが…やたらと原がうるさいので仕方なく、千夏も移動させた。
その結果、シロも霧崎部屋に来た訳だが…まぁ、監視しやすいからむしろ有り難い。
(…おねぇちゃん、平気?)
(大丈夫大丈夫)
(ごめん…なさい)
(いや、何回も聞いたし。シロは悪くないから)
(…ん)
(なんか千夏がお姉ちゃんしてて草)
(でも千夏って子供苦手じゃなかった?)
(見た目が子供なだけだからじゃないか?)
(そんな事よりお前等も寝とけ)
(え、花宮は?)
(交代で寝る。古橋は起きてろ)
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