08*(3/4)
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まぁ、そう簡単に上手くいかねぇとは思ってたけどな。それと、あの馬鹿が自ら囮になって残る事もなんとなく予想は出来てたしな。
というか、俺がわざわざ葉山を選んだ理由を理解しての判断だろうしな。もちろん、原を選んだのも同じ理由だ。
健太郎やザキは、間違いなく千夏を置いていく事をしないだろうし。古橋に関しては、あぁ見えて頑固でよくわからない行動をするからな。俺の命令には素直に従うが、千夏には従わない事が多い。だから、行動が読みにくいって理由で却下だ。
で、俺の予想だと
「…助けに行かなくていいのか? さすがに2人だけだとやべぇだろ」
「バァカ、逆だ。俺なら間違いなく、2人の方が楽に動けると判断して食料確保に行く」
「……あーね、まーじ嘘付きなんだけど。なにがすぐに行くからだよ、絶対に許さない」
「それは花宮さんの場合…ですよね? さすがの志波さんでもそんな無茶はしないんじゃないですか?」
「そもそも、助けがいるなら千夏は原にシロを地下まで連れて行ったら戻って来いくらい言うはずだ」
「ま、俺等にしかわかんないだろーけど、千夏はそういう奴なの。わかんなくていいから納得してよ」
まぁ、お荷物のシロが居なくなってフットワークが軽くてちょっとやそっとで精神を揺さぶられられない葉山がいれば、そうなるだろうな。
あいつは、俺の思考を読むのが得意な上に早いからな。ま、ただ単に囮に残って手ぶらで帰って来たらクソだけどな。
とりあえず、さっきからやたらと上の階が騒々しいが…まぁ大丈夫だろう。本当に無理なら逃げてくるだろうしな。そこまで千夏も馬鹿じゃねぇはずだ。
「…ていうか、絶対に千夏」
「ふはっ、使うだろうな」
「だよね。千夏だもんね」
「派手にやり過ぎで草」
「倒れなきゃいいけどな…」
「「「「???」」」」
「ぶはっ…! 相変わらずの霧崎流会話術ッスね。みんな付いていけてないッスよ!」
俺等の会話に全く付いてこれていない奴等が意味がわからないと言わんばかりに頭を傾げてる中、高尾がゲラゲラと笑っている。まぁ、今吉さんもわかってるだろうけどな。呆れた顔しながら頭押さえてるし。
とりあえず、心配するだけ無駄だ。どうせ、なんだかんだ文句を垂れながら帰って来る。
前回みたいに化物は倒せねぇが、数が少ない上に逃げ込む部屋もある。で、あいつは呪文を書き出してた本人だ。だから逃げるだけならどうとでもなる、はずだ。
とりあえず、シロから聞いた話だと最初の方の化物はまともな知性はないみてぇだし。危険なのは、後から出て来る化物らしいからな。
今の内にシロに知ってる事を全て話してもらうのが先だ。どうにもこいつは、俺等の質問には答えるが自ら発言しねぇみてぇだからな。
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