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…全然、わかんねぇわ。
とりあえず、部屋に入ったんだけどまるで文字が読めない俺は、やる事がない。もちろん、青峰や今吉さんもそうなんだけどさ。
ま、気になるもんがあれば瀬戸に聞けばいいんだけどさ。文字が読めないから、見た目だけで判断するしかないのが面倒臭い。
「瀬戸、これは? 真っ黒な本に見せ掛けたノート」
「……ん、ラテ…ルーン文字かな、これ」
「ルーン文字ってよくゲームとかである記号みたいなやつ?」
「そう、だと思うけど。とりあえず、それは原が持ってて」
「はいよ。で、なんかすっげぇ物音してるけど化物が戻って来た系?」
「音的に多分2階じゃない? こっちに来ても困るし、ここの探索が終わったら戻った方がいいかもね」
なんかさっきから変な物音が聞こえて来てて、ちょっと気になってたんだけど、一際大きな音がして思わずドアの方を見る。
この部屋は、安全ではないけど音を出しても大丈夫らしいからまだいいかな。
ちなみにドアに書かれていた文字は " offero " だった。意味は、与えるとかなんとか…言ってた気がする。つまり、なんか有力なもんがあるって事っしょ。
でも全く文字が読めないから、まじで判断出来なくてキレそう。まじでイラつく。
で、本棚を他に怪しげなもんがないかと眺めながら、青峰が不意に本棚を叩き出してちょっとビビる。
「は? なにやってんの?」
「あ? なんかこの辺から物音がしたんだよ」
「…? ちょっとそこ退いて」
「お、この本棚なんか横に動くみたいだ、ぜっ!」
「あ、ちょっ…!」
そして意味不明な事を言い出したかと思ったら、俺の制止を無視して本棚を横にスライドさせる様に動かした青峰。
なんなのこいつ、話聞けよ。
そして、何も考えずに動くのやめろ。俺に何かあったらどうすんの? 死んで。
で、そんな青峰の行動にキレそうになりつつもスライドして本棚を見ると、そこには…
「…おい、なんかいる」
「そんなん見りゃわかるし。お前、本当なにしてんの?」
「今吉サン、なんか女見付けた」
「ははは、女見付けたってなに言うてん、って! 何しとるん!?」
「えっ!? なにがどうしたらそうなるの? 何か見付けたらちゃんと声掛けてって言ったでしょ!」
「いや、俺は止めたし悪くないから! 青峰が勝手にやったの!」
そして何故か瀬戸に怒られる俺。まじで理不尽。ていうか、青峰が勝手にやっただけで俺はまじで何もしてないからね?
ていうか、それよりも本棚を退かして現れた小さな隠し部屋にペタリと座り込む女の子の方が問題っしょ。
ゆっくり俺等を見上げる女の子は、怖いくらい綺麗な瞳をしていて何故かゾクリとした。
で、結局…青峰が見付けたって事で青峰が女の子をおぶって地下室に戻る事になった。
ちなみに女の子は話せないのか、反応はするけど声を発しなかった。
(ぶっ、オセロかよ)
(あ? うるせぇ)
(青峰は黒いからなぁ)
(与えるってこの子の事、なのかな)
(さぁ? でも放置も出来ないっしょ)
(なんや話せんみたいやしなぁ)
(つーか、犯罪者に見えてきた)
(誘拐犯に見えなくもないよね)
(うるせぇんだよ、さっさと戻るんだろ!)
(こら青峰、女の子がビックリしとるから)
(全く、黒い奴は怖いですねぇ〜)
(お前は腹が黒いだろうが)
(は? うざいんですけどー)
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