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康次郎が見付けた隠し戸には、注射器と小瓶が置かれていた。隠し戸というか回転戸みたいな? まぁ、なんかよくわからないけど。
で、注射器と小瓶には特に何も書いてなくて、怪しさだけが際立っていた。
「うーん。別に黒幕が病気とか物凄くどうでもいいよね。ましてや、動機とかも興味ないし」
「まぁ、俺等はここから帰れればいい訳だしね。全く興味はないよね」
「どんな情報でも弱味になる可能性があるだろ。あって損する訳じゃねぇよ」
「まぁ、そりゃあそうだけど。で、どうすんの? ノートと注射器と小瓶だけしか見付かってないけど、戻る?」
「…もう1部屋行くぞ」
ま、そうなるよね。
真の事だから、もっと有力な情報を手に入れないと満足しないとは思ったよ。それにこの部屋が安全な時点で、あんまり良い情報は無さそうだとは思ってたしね。
でもこの部屋が安全ってわかっただけでも、かなり有り難いけどね。最悪は、この部屋に逃げ込む事が出来る訳だし。
そして部屋を出る前に外の様子を窺い、ゆっくりとドアを開けて廊下を見渡し…何もいない事を確認してから、隣の部屋へと向かった。
が、すぐにわたしは真のブレザーを引っ張った。
ドアには特に何もないし、さっきの部屋のドアと変わりはないのに…何故か、嫌な予感がした。
わたしの行動に健ちゃんと康次郎が不思議そうに頭を傾げている中、真がドアを見つめてからわたしを見たので頭を振る。
ダメ、多分…開けたらヤバい。なんか知らないけど、冷や汗まで出て来たよ、わたし。
そんなわたしに真が難しい顔をしながら、ゆっくりとさっきの部屋に戻るぞとアイコンタクトをしたので頷く。
さすが真…話がわかるぜ。いや、話してはないけど。
そしてゆっくりと最初の部屋に戻り、ドアを閉めてズルズルと座り込む。はぁ…息が詰まるというか…止まるかと思った。
「で、なんだよ。あの部屋になんかある感じか?」
「あの部屋、めっちゃ嫌な予感する。なんか知らないけど、冷や汗が出るくらいにはヤバそう」
「古橋、なんか感じた?」
「いや、全く」
「だよね」
「確かに、変な圧は感じたが。そんなにかよ」
「ちょっと試しに要らない本をあの部屋の前に投げてみない? 中になんか居たら出て来るかもしれないし」
「出て来たら困るだろうが、バァカ。とりあえず、隣の部屋はやめておくか」
やっぱり、危機察知能力が低い健ちゃんと康次郎は危ないと思います。真も何かしら感じてたみたいだけど、わたし程じゃない辺り…ちょっと不安。ていうか、わたしが過剰反応してるだけかもしれないけど。
でもあの部屋を調べるなら、それなりの覚悟をしてからじゃないとヤバそう。
そしてわたしの様子から、真が隣の部屋はスルーする事にすると言ってくれた。さすがだ、頭が良いぜ、天才だぜ。
尚、眉毛。
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