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うわぁ…無駄に広そう。
ゆっくりと足音を立てない様に静かに階段を上ったのはいいが、上り終わって…絶望した。
地下室が狭いのは、わかるけどさぁ…さすがにこんなに広いとは思わないじゃん? しかも、更に上に階段があるし。
とりあえず、無言のまま周りを見渡す辺りさすがですね。わたし達は、忍者かよ。
とりあえず、真のアイコンタクトで1番近い部屋に入るとの事なので…ゆっくりと周りを警戒しながら、慎重に歩を進める。
もちろん、無言だ。
ドアには特に何も書いてなかったので、ドアに耳を当てて中の様子を窺い…何かがいる気配も音もしないので、真がわたし達にアイコンタクトで確認をしてからゆっくりとドアノブを回した。
やけにドアノブの音が大きく聞こえるのは、余りにも周りが静かなせいだろう。
そしてゆっくりと中を窺いながら真が先に部屋に入り、すぐにわたし達も部屋の中に入った。中に入り、すぐに内側のドアを確認すると " salutem " の文字と小さな魔法陣と呪文が描いてあった。
「とりあえず、ここは安全だって。はぁ…息詰まるわぁ」
「静か過ぎて不気味だよね」
「とりあえず、この部屋の中になにかないか探すぞ。何か見付けても、勝手に見たり触ったりするなよ」
「それ康次郎に言いなよ。そんな事するの絶対に康次郎だけだから」
「失礼だな。そんな事はしないさ、多分な」
「多分じゃねぇんだよ、絶対だバァカ」
とりあえず、この部屋は安全らしいので普通に会話をする訳だが…もうね、この空気がヤバい。もはや雰囲気が殺しに掛かって来てるよ、まじで。
そして各自、適当に何かないかと探し始める訳だが…すぐに健ちゃんがノートを見付けた。後は、特に何もなし。
しかも、健ちゃんが見付けたノートも日記っぽいし。ここで読む必要はないかな。
とりあえず、小さな本棚にある本を調べたけど…
「全部、血液についての医学書みたいなのばっかりなんだけど」
「言語は」
「なんでか知らんけど英語が主で数冊だけフランス語」
「滅茶苦茶だな。健太郎が見付けたノートは英語だろ? で、こっちの机に記されてるのはドイツ語だ」
「たまたま、整理をしてないだけなんじゃないか?」
「そうじゃねぇよ。ノートに関しては被害者だろうからいいとして、この家具や本棚の本は館の持ち主のもんだろ。なのに、余りにも言語に統一性がねぇんだよ」
「そいつにとって言語とか別に重要じゃないんじゃない? 読めればいい的な」
「なるほど、花宮みたいな感じか」
「殺すぞ」
まぁ、確かに普通は自分が普段使ってる言語が主になるだろうけどさ。別に生活に支障が出ないなら、別に他の言語でもいいんじゃね?
ていうか、ドアの文字もラテン語だったし。地下にあった、魔導書の書写とメモもラテン語だったから、普段はラテン語なんじゃない? まぁ、知らんけど。
そもそも、黒幕がどこの言語を使って様がどうでもよくない? まぁ、真の事だから余計な事ではないんだろうけどさ。今はまだ、いいんじゃないかね?
(医学書に変なところはない?)
(特には。やたら血液に関してってだけ)
(血液の病気、とかなのかな)
(だから、不老不死?)
(死にたくないって思ったとか)
(クッソ迷惑でキレそう)
(…花宮、これはなんだ?)
(あ? へぇ…隠し戸か)
(また怪しげなもん見付けやがって…)
(え…注射器とかヤバくない?)
(なにも書いてないな)
(病気だった説が濃厚?)
(かもな)
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