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ピリピリとした空気の中、用がないなら出ていけと口を開こうとした瞬間、ノックもなくドアが開いた。
「うわっ、空気おっも! つーか、コソコソなーにやってんの?」
「既にバトった後っぽいね。シロの表情で察した」
「うむ、少し寝過ぎたな」
「誰も起こさねぇんだもんなぁ」
「……おねぇちゃんの事は」
「いないって事は、どうせ勝手に探索にでも行ったんでしょ。詳しくは、聞いてないから知らないけど」
「………」
とりあえず、目を覚ました原達が他の連中に話を聞かずに1番に俺の部屋に来たのはわかった。
そして千夏がいない事に、案の定と言うか予想通りと言わんばかりに気にも止めていない様子の原達に分かりやすくシロの表情が歪んだ。
ふはっ、そんなに俺等が千夏の行動を理解しているのが嫌か。なんで、お前等までわかるんだって顔してんな。
「えっ、なに花宮、シロの事イジメてたの?」
「あ? なんもしてねぇよ」
「そのわりに、シロは花宮を殺してやると言わんばかりの目をしているが」
「勝手に嫉妬して、キレてるだけだろ」
「はっ、嫉妬? なんで花宮に?」
「…あっ、なーるほど? 千夏と花宮が一緒に寝る程、仲が良いから嫉妬しちゃったんだー。へぇ、ウケんね」
そしてこいつ等に弱味を見せたのが運の尽き。あからさまに嫌な顔をしているシロを、原がニヤニヤと笑いながら見つめる。
まぁ、普通に考えたらシロが千夏に執着している事はわかっていたが、まさか人間相手に嫉妬するとは思わねぇだろうからな。
更に今のコイツは、千夏と約束をしたせいで下手に俺等に手を出せねぇからな。それを原が見逃す訳もなく、ヘラヘラと笑いながら距離を詰めた。
「おい、いつまで寝てんだ起きろや」
「っ、おねぇちゃん!!」
「うおっ!? なっ、なにどうした!?」
「………っ」
「まーたオマエ等は、シロになんかしたんか? 仲良くしろとは言わんけど、悪魔相手に喧嘩売るのやめろや」
「…あ? 売られたのは俺等の方なんだよ、しね」
「まぁ、どっちでもいいけど。とりあえず、魔法石2つ取って来たから儀式の準備し始めんぞ」
原が今からどうイジメ様かとウキウキしていたタイミングで、勢い良くドアが開き何も知らないバカ女が登場した。
…今更だが、本当にテメェもクソ程自由なバカ野郎だな。
抱き付いているシロで千夏の姿は見えないが、腹立たしいのでシロ越しに睨んでおく。
それを知ってか知らずか、何もなかったかの様にシロを連れて部屋を出て行く千夏に更にイラッとした。
だが、儀式の準備となれば無視する訳にもいかず…仕方なく俺等も部屋から出る事にした。
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