有能な生け贄 | ナノ
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2階で魔法石がありそうな部屋は2つ。真が見付けた何かあるけど見えない部屋と魔法陣と女の死体がある部屋。

とりあえず、面倒臭そうな魔法陣と女の死体がある部屋は後回しにして、見えない部屋に向かう。

ていうか、シロが見えない部屋の魔術?を解除したなら、なんか見えちゃう訳だよね。そもそも、やべぇもんだってシロが言ってたけど、それはどうなったんだ? シロが安全って言ってたから、それすら消したのかな。

…あれ、なんかちょっと不安になって来たぞ。



「確か、この部屋だったッスよね?」

「青峰は、なんか感じたりせぇへんか?」

「特に嫌な感じはしねぇけど?」

「お前等、ビックリするぐらいぐいぐい行くじゃん」

「いやぁ、千夏さんに無理される前に俺等が行った方がいいかなって」

「それに千夏になんかあったら、花宮逹に怒られてまうしなぁ」

「いや、意味がわからないです」



いくら、青峰の勘が鋭いからってそんな簡単に部屋に入るのは良くないと思います。

つーか、今吉さんも普通に行くじゃん。そこは、慎重に行くところじゃん。むしろ、今吉さんは青峰と高尾を止める側じゃん。

だがしかし、そんなわたしの思いを無視して平然と部屋の中を調べ始める3人である。なんだこいつ等、無敵かよ。

部屋の中は、特に化け物がいたりとか死体があったりとかはしないけど…あからさまにシロが破壊したんだろうなぁって感じの魔法陣と大きな鏡があった。

本当にそれだけして去ったって感じ、他は特に触ってないのか不自然に綺麗なまんまで逆に何がいたのか気になるっていう。



「あの鏡になんかあんじゃね? 割れてっけど」

「わたしに確認する前に触んのやめろ、高尾も普通に魔法陣のところ行くな」

「まぁまぁ、大丈夫ですって。まぁ、千夏さんになんかあった方がマズいんで、俺等が色々調べるのは当たり前っつーか」

「あっ、なんかあった」

「そして平然となんか見付けんな! ちょっと今吉さん! お宅の野生児どうなってんスか! いや、笑ってる場合じゃねぇんだよなァ!」

「まぁまぁ、何も見付からんよりええやんか」



いや、全然良くねぇわ!!

そして、そんなわたしと今吉さんを無視する様に鏡をガダガダと躊躇なく外そうとする青峰である。

おい、ばかやめろ!!

だが、わたしの叫びも空しく青峰はそのままガタガタと鏡を壁から外した。

そして鏡が外れると同時に何かが落ちて来て、それを高尾が躊躇せずに拾うとわたしに駆け寄って来たので…とりあえず、頭を殴っといた。

いや、まずは状況を説明してから行動しろや! このバカ共がよぉ!!!



(ったァ! 千夏さんがぐーで殴ったァ!!!)
(うるせぇ、ばか!!)
(で、青峰はなんでそこにあるってわかったん?)
(んー、なんか鏡の後ろからチェーンが出てた)
(それを先に言えよ! クソがよ!!)
(どうせ、取んだからいいだろ)
(良くねぇから言ってんだよ!)
(ほー、鏡で隠してた感じやなぁ)
(で、それ必要なヤツなのかよ?)
(もう全員ぶん殴りてぇ…)
(俺、既に殴られてるんスけど!)
探索では有能な青峰。だが、人の話は聞かない。

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