有能な生け贄 | ナノ
34*(3/4)


んー、いつもの感じに戻ったのはいいけど…肝心な魔法石が全然見付からないんですけど。

流石に安全だって言っても、一哉達は英語しかわからないし…下手に変なもの弄って、魔術が発動したりしたら怖いじゃん? だから、慎重に探してるんだけど…クッソ時間が掛かるんだよね。



「ん、これとこれも読めないよ〜ん」

「…これ、素直に魔法石だけ探した方が早いんじゃねぇのか?」

「それが出来たら苦労しねぇんだよなぁ。必要な魔法石じゃなかったけど、真が使った魔法石は本に入ってたって言ってたじゃん」

「た、確かに。だけど、文字が読めないって理由で本を開けないんじゃ、時間ばっか掛かるだろ」

「本を開いて呪いがドーンって可能性もある訳だよ」

「まぁ、可能性はあるかもしんないけど〜千夏は気にし過ぎじゃねぇ?」



魔導書を読んだだけで呪いが掛かった奴が2名もいるのに、なんて警戒心がないんだ。確かに、時間は掛かるけど…今は危険な化け物はいない訳だし、目に見える危険はシロが排除してくれたんだから、ゆっくり安全に探索した方がいいだろ。

ていうか、シロが近くにいればそんな慎重にならなくてもいいんだけど…お前等がやたらとシロを毛嫌いしてるから、時間掛かってんだからな! そこんとこわかってんのか!!

と、言いたいところだが…まぁ、なんかまたややこしくなりそうなので黙っておこう。特に一哉は面倒臭いからね、仕方ないね。



「つーか、儀式すんのはわかってるけどさ〜。俺等は千夏と残る訳じゃん。シロは、マジで俺等も帰してくれんの?」

「そういう約束になってるから大丈夫だと思うけど。そもそも、封印が解けてるのに逃げたりしてないし」

「まぁ…普通に考えて、千夏を連れて今すぐ逃げる事も出来る訳だしな」

「そういう事。ていうか、どうしたってわたしはシロの力を借りないと帰れないしね〜」

「いやいや、最後の最後に裏切るかもしんないじゃーん」

「まぁ、そうなったらそうなっただよね。そもそも、本当ならわたしだけ残る筈なのに…無理矢理残ろうとしてるのお前等だしな。普通に帰れるのに」

「そもそも、その儀式も大丈夫なのかわからないじゃん」

「原の言いたい事もわかるが、全部を全部疑ってたらなんも進まねぇだろ。それに千夏が言うように他に方法もねぇのに、怪しいから嫌だ、大丈夫かわからないから嫌だってなんでも嫌がってたら、それこそ全員死ぬだけだろ」



はーい、弘が正解!!
やっぱり、弘は相手側の気持ちを考えさせたらピカイチだよね。流石、霧崎の中で人の気持ちを考えられる数少ない人物!


prev / next

[ back to top ]