有能な生け贄 | ナノ
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更にシロに今の状況と、これからどうするつもりなのかを問うと驚く程、冷めた笑みを浮かべた。



「もちろん、あの人間を殺しに行くよ」

「…行けないんじゃねぇのかよ」

「今すぐは無理ってだけ。この屋敷の中くらいなら、おねぇちゃんと離れても大丈夫だから…僕に任せてよ。君達が死んだりしたら、おねぇちゃんに顔向け出来ないから」

「…しかし、あの部屋には入れないんじゃ? また幼女化する可能性だって」

「多分、平気。今は完全に封印は解けてるし、もしなら部屋には入らないで部屋ごと破壊するから。そしたら、残して来た2人を連れて1度戻って来るよ」



…嘘、ではないか。
時折、怒りのせいなのか殺気が漏れてる気もするが…それは俺等に対してではねぇし。

封印が完全に解けたって言ってんのに、すぐに逃げ出さない辺り…本気で千夏を助けようとはしてるみてぇだしな。

そもそも、今の俺等には何も出来ない上に無駄にシロに時間を取らせて千夏の状態が悪化する方が不味い、か。

シロを信じたくねぇのは変わらねぇが、今はそんな事を言ってる場合でもねぇ。



「…さっさと行け。どうせ、俺等の指示には従わねぇんだろ? なら、お前の方法で千夏をどうにかしろ」

「僕、おねぇちゃん以外は興味ないし別に死んでもいいと思ってるけど…キミみたいな人間は嫌いじゃないよ」

「ふはっ、そりゃどーも。仕方ねぇから、俺等に出来る事ならしてやるよ」

「……魔導書が読めるなら、ルーン文字の本を詳しく読んでみて。少しだけだけど、おねぇちゃんの今の状態がわかると思うから」

「……試したい事があったりしたら、やっても大丈夫なの? 少しでも千夏の意識が戻ったりする可能性があるかもしれないし」

「試す分には問題ないよ。だけど、下手に精神力を使い過ぎないでほしいかな。君達にも、僕が気付けない呪いが掛かってるかもしれないから」



…チッ、結局下手に動くのは得策ではねぇか。そもそも、俺と健太郎に関しては1度呪い掛けられてるしな。

だが、出来るだけ千夏の状態を把握しときてぇからな。ルーン文字は、ラテン語よりもかなり面倒だが…何もしないよりはマシだ。

そして古橋に抱えられている千夏の頭を悲しそうに撫でると、シロが姿を消した。

……完全に封印が解けたっつーのは、本当らしいな。流石に姿が消えるとは思わなかったが。



(つーか、毎回こいつ死に掛けてね?)
(まぁ、千夏だからな)
(そもそも、誰も死んでないのがおかしいけどね)
(確かに、そうだよな…)
(まぁ、花宮も死に掛けていたがな)
(うるせぇ、しね)
(つーか、千夏なら自力でどうにかしそうじゃね?)
(千夏ならやりそうだよな…)
(絶対に無理だと思うけど、何故か否定出来ない)
(おい、千夏の服脱がせ)
(いやん、花宮ったら大胆!)
※一応生きてるので冷静です

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