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正直、詳しい事はシロから直接聞かなきゃわからない事だからけで、ただただ沈黙が続いた。
だが、その沈黙の中…突如、激しい爆発音が鳴り響いた。
もちろん、音の発生地は千夏とシロを置いて来た部屋だ。急いで廊下に出ると、隣の部屋からは黒煙が上がり瓦礫の落ちる音が不気味に響いていた。
そして立ち尽くす俺達の前に姿を現したのは、千夏を抱えたシロだった。
「っ、お前っ! 千夏は、」
「…原、動くな黙ってろ」
「……おねぇちゃんは、死んでないよ。ただ、今は起きないと思うから…はい」
「…おい、古橋」
「あぁ、わかった。……意識はないが、きちんと息はしている」
「…おい、何があったか全て話して貰うぜ。お前のその姿と千夏のその状態がどう関係してるか」
顔でシロだと判断は出来たが…あからさまに雰囲気の違うシロと、異様な模様が肌に浮かび上がり意識のない千夏。
シロの様子を見る限り…封印が完全に解けた可能性が高いが、何故か悲しそうというか…悔しそうな顔をしている。
千夏がシロを無視して勝手に解除した可能性もあるが、イマイチ状況がわからねぇ。どう見ても、千夏が良くない状態なのはわかるが…詳しい状態はわからねぇしな。
そして俺等に申し訳なそうに、千夏と何があったかをシロが詳しく話し出した。
「…信じてくれなくてもいいよ。ただ、僕も本当に知らなかったし気付かなかったんだ」
「つまり、最初から俺等は脱出なんて出来なかったって事だろ? お前と千夏がどう頑張っても、どちらかが封印される様になってたって事だからな」
「…封印は解けたんだよね? なのに、千夏のこの状態をどうにも出来ないのはなんで?」
「僕の呪いがおねぇちゃんしか解除出来ないのと同じで、おねぇちゃんの呪いも人間にしか解除出来ないからだよ」
「…お前が呪い掛けたヤツを殺せば済むんじゃねぇの? 封印は完全に解けてんでしょ? 自由に動けるなら余裕じゃねぇの?」
「それが出来たら今すぐにでも殺しに行ってるよ。今のおねぇちゃんは、僕が離れ過ぎると死んじゃうんだよ。それに僕もかなり弱体化する様になってる」
シロが言うには、千夏から魔力を補給しながら肉体の回復をしていたらしいんだが、急に千夏から魔力が溢れたかと思ったら…千夏が呪文に呑まれ、その瞬間にシロは自分で呪いを解いたとの事だった。
で、千夏に掛けられた呪いをどうにかしようとしたが…自分には何も出来ないモノだとわかったと。
ちなみに爆発は千夏の呪いの影響だったらしく、近くにいた者を巻き込んで殺す気だったんじゃないかとの事。
で、なんで千夏に呪いが発動したかの理由だが…精神力の使い過ぎとの事。ある程度、精神力を使うと発動する様になってたらしい。
つまり、もっと頻繁に千夏が魔術を使っていたらシロの呪いの解除も出来ないままだったって事だ。
まぁ、わかりきってはいたが最初から誰1人として生かして逃がすつもりはなかった訳だ。
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