有能な生け贄 | ナノ
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え? じゃあ、儀式とかやる意味なくね? ていうか、魔法石使ったら普通に5人死ぬの確定じゃん。



「まぁ、なんかよくわかんないけど儀式すんのには、千夏以外の誰かが更に犠牲になるみたいな感じ?」

「まぁ、簡単に言えばそうなるね。シロも言ってたけど、この儀式をしたら千夏は暫く動けなくなるって。そんな儀式なのに他にリスクがない訳がないよね」

「はいは〜い。でもシロは儀式を行った場合、千夏ちんも誰も死なないって言ってたはずだよ〜? 嘘付かないなら、大丈夫なんじゃないの?」

「はい、バカ! 儀式の準備段階で死ぬなら関係ないじゃん。儀式を "行って" って死ぬ訳じゃないんだから嘘ではない。わたしが呪文唱えて儀式が始まったら誰も死んだりしないよって事でしょ」

「千夏の場合は最後の呪文関係で死ぬ可能性はあったけど、それはシロがどうにかするつもりなんだろうね」



あからさまに紫原が腑に落ちないといった表情をしているが、よくよく考えたら嘘は付いていないが…上手く誤魔化してる様にも思える訳で。

実際、シロは結構な頻度で言葉狩りと言わんばかりにわたしを翻弄してるし。嘘は付いてないけど、核心は教えないよ? みたいなね。

疑ってるとは違うけど、シロの言葉を全て真に受け入れられなくなってんだよねぇ。



「んー、俺も紫原と同じで多分大丈夫な気がしますけどね。なんつーか、シロは俺等の事はまーじでどうでも良さそうッスけど、千夏さんが嫌がる事はしないじゃないッスか。で、今は千夏さんが俺等の為に色々してるのわかってる訳じゃないッスか。なのに、死人が出る様な事をさせますかね? いくら聞かれてないって言っても、流石に儀式すると誰か死ぬかもくらい教えそうな気がするんスよね」

「急にめっちゃ喋るじゃん」

「いやぁ、千夏さん達が疑り深くて色々と深読みするのはわかってるんスけど…なんつーか、さっき千夏さん達はいなかったからあれッスけど…マジで千夏さんが嫌がったり悲しんだりする事はしないって感じだったスよ」

「そうだよ〜。だって、赤ちんが "絶対に魔法石を見付けてくる" って言った時も、 "キミが無理して怪我したり、最悪死んだりしたらおねぇちゃんが悲しむから大人しくしててほしい" って、普通に言ってたよ?」

「ぶっ、千夏クッソ愛されてんじゃん。悪魔から窮愛される女とか最強じゃん」



…全然、嬉しくない情報をどうもありがとう。

いや、だけど…確かに今のシロはわたしを第一で考えてくれてるし、今までの苦労が水の泡になる様な事はしない…気はするけど。

…ま、まぁ、わたしが後でシロに直接聞けば済む話だからいいや。ていうか、冷静になったはいいけど…逆に頭が冴え冴えで色々と気になる部分が多くなる不具合である。

ていうか、わたし達が色々と捻くれてるせいでもあるんだけどさ。


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