有能な生け贄 | ナノ
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いやー、お通夜お通夜。
普通にザキと千夏の言い合いが筒抜けだったし? で、ウザいくらい落ち込みながらザキが戻って来たんだけど、もうマジで空気がクソ。

正直、俺も千夏にはめちゃくちゃムカついてるけど…なんつーか、今回の場合は俺等の為ってのが露骨にわかるし? わざとやった訳じゃないのは、わかってんのよ。

つーか、普通に千夏も余裕が無さそうな感じっつーの? 探索の時に思ったんだけど、色々と考え過ぎてて周りが見えてねぇ感じ。



「っ…はぁ、マジで責めたかった訳じゃねぇのに」

「まぁ、ザキは間違ってないんじゃん? 俺等がこんなだから、言ってくれたんしょ?」

「自覚あるのかよ…」

「つーか、俺は普通に千夏がクソ過ぎて腹立ってるけど、花宮の場合は多分違うからね。そもそも、千夏に腹立ってるなら花宮は普通にブチギレてるでしょ」

「…それは確かに。なら、なんでずっと黙ってんだよ…かなり体調悪いとか?」

「俺の予想は、自分の不甲斐なさと千夏に頼りっきりのこの状況に嫌気が差している…といったとこっ…ぐ!」

「あ、図星らしい」



まぁ、普通に考えて花宮も瀬戸と同じ感じだよね。ましてや、花宮と瀬戸は魔導書とか読めた訳だし、色々とどうにかしようとしてた訳だし?

で、それがほぼほぼ意味なかったって、なった上に結局は千夏がどうにかするしかないんだから、そりゃあ嫌にもなるでしょ。

俺等とは違って色々と知ってるからこそ、自分の無力さに苛立ってるんでしょ。ホラ、俺等は魔導書も読めないし? 英語くらいしかわかんないからね。

花宮と瀬戸が千夏の負担を減らそうとしてたのは、知ってたし。

ちなみに俺は、本当に単純に千夏にムカついてるだけだよ。あいつ、マジで性格クソ。自己犠牲のふりしたクソ。まさにクソ。



「っ、そ、そもそも…俺が千夏の立場なら喜んで悪魔と契約するぞ」

「古橋は頭おかしいからね、仕方ないね。でもさぁ〜1人で逃げれるってなって、マジで1人で逃げるヤツとかいないんじゃねぇの? 流石に千夏のは頭おかしいけど」

「そ、そうだけどよ。やっぱり、一言でいいから相談して貰いてぇじゃん。なんの役にも立たないかもしんねぇけどよ…1人で背負い込む事ねぇじゃん」

「なんでザキは、それをさっき千夏に言わなかったの? クソバカじゃん、クソウケる」

「うっせ! バカ! ちょっと、俺もイラついてたんだよ! しょーがねぇだろ!!」



まぁ、ザキだしね。
千夏が無理してるって、心配で仕方なかったみたいだしねぇ。

いや、だからってあの言い方は頭悪過ぎだけど。つーか、千夏の性格的に逆ギレするに決まってんじゃん。


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