有能な生け贄 | ナノ
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で、事情は説明したのでわたしは健ちゃんの元へ向かうと言うか、健ちゃんを連れ出した。尚、シロはさっきの部屋に置いてきたよ。

今吉さん達の話し合いに協力してくれって頼んだからね。

そして嫌そうな顔をしたまま黙っている健ちゃんの腕を引き、適当に空き部屋に入った。ちなみに真達がわたしに何か言いたそうな顔をしていたので、今吉さん達に聞いて〜と適当に対応しといた。

まぁ、今は健ちゃんのメンタルケアが第一だからね、仕方ないね。



「よーし。で、健ちゃんは何かわたしに言いたい事があるんでしょ?」

「…ないよ」

「わかりきった嘘付くじゃん。つーか、今吉さんと赤司から話聞いたから知ってるけどね」

「なら別にいいでしょ。今は、放って置いてよ」

「はぁ〜〜〜…。なんていうか、クズでゲスなのは間違いないけどさ…健ちゃんって本当に優しいよね。だから健ちゃんは、嫌いなんだよ」

「知ってる」

「開き直った上に自覚あるの草なんだが」



健ちゃんは、なんて言うかさぁ…確かにクズだしゲスだけど、根が優しいんよなぁ。好き嫌いがハッキリしているというか…興味がない相手にはとことん冷たいし全く関わろうともしないのに、好意的な人間にはとことん甘いし優しいんだよね。

もちろん、ド正論パンチや毒を吐いたりもするけど…それも愛情の裏返しというか。

真と一哉は、なんていうか仲間だろうがなんだろうが利用してなんぼのメンタルお化けなんだけど…健ちゃんは、なるべく仲間に被害が及ばない様に何通りも考えて考えて、それでも無理なら妥協するみたいなさ。

なるべく最善を尽くすタイプ。だけど、リアリストでもあるから無理だとわかったら嫌でも受け入れるけど…本当はどうにかして避けようとしてる感じ。

もちろん、真もリアリストだし何通りも考えて最善は尽くすけど、健ちゃんとは違って簡単に割り切れるタイプなんだよね。嫌だけどやらなきゃならない、ならやるしかねぇだろって感じ。



「…本当にごめん」

「いや、それわたしのセリフな? マジでごめん。つーか、真が気失ってる時も全部健ちゃんに任せっぱなしだったし、色々といっぱいいっぱいだったのは健ちゃんも同じだった筈なのにマジでごめん」

「………」

「ていうか、元はわたしが好き勝手やってたせいだし? 健ちゃんが責任を感じる必要ないよ。むしろ、わたしは健ちゃんいてくれて感謝してんだからやめてよね。つーか、言わせんな恥ずかしい」

「…俺の事ちょー好きじゃん」

「好きじゃねぇよ、さっき嫌いだって言ったの聞こえてた?」

「大丈夫、俺も千夏の事嫌いだから」

「嘘付け、絶対にわたしの事大好きだぞ」



健ちゃんに感謝してるのは、本当だからね。しかも、なんだかんだ素直にわたしを心配してくれるし…なんていうか、わたしが健ちゃんに素直に接せれるのは健ちゃんが素直だからだし。

なんていうか、健ちゃんはマジでなんでも受け入れてくれるし。三馬鹿(真・一哉・康次郎)みたいに面倒臭い反応もしないから、本当に楽でいい。ちなみに弘は三馬鹿とは違った意味で面倒臭い時があるので、ちょっと違います。

そしてそんな事を言いながらも、すまなそうな顔をしている健ちゃんの頭をワシャワシャしてあげました。※ヤンキーバリの座り方で話してます。

健ちゃん、図体デカイ癖にたまに可愛いのなんなの。ウケる。



(ていうか、一緒に帰れるし)
(また無理したんでしょ)
(いや、シロを手懐けた)
(それは最初からでしょ)
(契約なしの口約束で済んだ)
(また…勝手に約束してるし)
(その顔やめてくんない?)
(なら勝手な事するのやめてくれない?)
(それは無理だから諦めて)
(マジで千夏クソなんだけど)
(健ちゃんが一哉みたいになってて草)
(原と一緒にしないでくれる)
※瀬戸ちゃんが可愛い

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