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ケロッとした様子で何事もなかった様にシロと一緒に帰って来た千夏にイラッとした。
今更、シロを警戒したってなんの意味もないのはわかってはいるが…そこまで親しくする必要はねぇだろ。
…なにもかも面白くねぇ。
「ん、これが3階で見付けた材料ね。で、魔法石とやらが3つ足りないんだよね」
「…えーと、確かに1階の危険な部屋のを除くと3つ足りないですね」
「3階は、結構隅々まで探したんだけどこれしか見付かんなかったんだよねぇ。だから、1階と2階のどっかの部屋で見落としてんじゃないかなって」
「え、平然と話進めるんスね…」
「…志波さんだから仕方ないのだよ」
「おいそこ、無駄口叩いてんじゃねぇぞ!」
俺等の空気感なんて無視と言わんばかりに勝手に話を進める千夏に、もはや突っ込む気にもなれずただ黙る。
…頭がいてぇ。
まだ調子が万全じゃないのはもちろんだが、無駄な事を考え過ぎた。
どうせ、魔法石の確認をしたらこいつ等はまた探索に行く気だろうし。もう放って置けばいいんじゃねぇの?
気分も悪ければ体調も悪い。
故に、いつもより千夏の言動や行動が鼻につく。
「つーか、なに? めっちゃお通夜じゃん。空気重くて感じ悪いんだけど? まぁ、わたしのせいなのはわかるけど」
「…自覚あるなら黙ってなよ」
「うわっ、健ちゃんブチギレじゃん」
「本気で千夏が嫌いになりそうなくらいにはね」
「ガチじゃん」
「せ、せや! 花宮達はちょい疲れとるみたいでな! 後はワシ等が話聞いとくから部屋で休んどってええで!」
健太郎は、ずっと警戒はしていたが…シロを千夏から離す事はしなくていいと思うって言ってたからな。自分のせいで、シロが無駄に千夏に懐いたと思ってんだろうな。
で、いつもの様に千夏に突っ込みを入れない俺等に今吉さんがフォローに入った。
はぁ、頭を冷やすのもそうだが…今はこいつと話したくねぇし、素直に部屋に戻るか。もう少し冷静に考えねぇとな。
そして、俺が無言で立ち上がると健太郎達もスッと立ち上がったのでそのまま部屋を出た。
「マジで休むの?」
「そもそも、花宮は安静にしていなければならない状態だからな」
「…なんつーか、瀬戸お前大丈夫か?」
「大丈夫に見えるならザキの目は節穴だね」
「つーか、瀬戸は気にし過ぎっしょ。誰のせいとかって話なら間違いなく此処に俺等を喚び出したヤツが悪いんだし。気に病むだけ無駄じゃね? そもそも、千夏だし」
「わかってるよ。だけど、避けて通れた可能性だってあったし…最悪のパターンを避けてるつもりだったのに、結果はこれだよ? 普通に嫌になるに決まってるでしょ」
まぁ、特に健太郎はな。
そもそも、健太郎は原みてぇに何でも簡単に割り切れるタイプでもねぇからな。それで千夏の為と動いてた、結果がコレだからな。
自己嫌悪で嫌になる気持ちもわからなくもねぇ。
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