有能な生け贄 | ナノ
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ザキに加えて実渕と森山もあの探索時の話を自分視点ではあるが、聞いた結果…



「いや、マジで全然わかんねぇんだけど。話聞く限り別に普通じゃね?」

「そもそも、シロと2人きりになったりした訳じゃねぇし。特別、千夏が何かしたって事はなかったはずだぜ」

「そうねぇ…ずっと5人で行動していたし。部屋の中にいる時も基本的に千夏ちゃんは私といたけど、普通に読み物漁ってただけよ」

「化け物から逃げる時も普通に5人で協力して…って感じだったからな。俺は、特になにもしてないが!」

「誇らしげに言ってんじゃねぇ!」



…聞けば聞く程、意味がわからない。話を聞いた限り、本当に特に変わった事をした訳じゃなさそうだ。

あの時に持って来た千夏達のメモを再度読み返して見ても、儀式の方法についてしか書かれていない。

強いて言えば、ドアにあった魔方陣が赤いと走り書きがしてある程度で他に情報はない。



「…あのすっごく安直っていうか、最初にシロが言ってた事なんスけど…単純に囮にしなかったからじゃないんスか? 部屋から出れない状況だったんスよね?」

「…あー、そうかも。俺と千夏、部屋から出るのに囮っつーか、化け物ってシロに向かって来るのか? みたいな話してたんだよ」

「いや、なんでそこはしょってたんだよ」

「えっ、いや…結局、囮は俺と実渕がしたし。そもそも、シロもわからないって言ってたから気にしてなかったわ」

「しかし、そんな子供みたいな理由で悪魔とやらが千夏に執着するのか? いまいち、納得出来ないのだが」

「ん〜、私にも悪魔の気持ちはわからないけど…シロ的は、今まで扱いが酷くて何度も死んでいたんでしょ? なら、私がシロの立場ならどんな状況でも自分を守ってくれる千夏ちゃんに執着するのも少しわかる気がするけど…」



…そもそも、人間の俺等が悪魔の思考がわかるはずもねぇ。ただ、実渕が言ってる事は確かに理解出来る。

最初は、本当にただ懐いてただけだとしても…そこまで自分を信じてくれる人間が近くにいたら利用しようとするのが普通か。

だが、いまいち古橋同様に納得いかない部分が多い。そもそも、千夏をどうにかするならとっくに出来てるはずだ。

魔力の補給だなんて言いながら、千夏をそのまま手中に収める事も出来たはずだ。現に催淫効果で我を忘れて、襲い掛かって来るくらいだった訳だからな。それを利用しなかったのも正直、よくわからない。

…あー、クソ。
あいつは、どこまでも面倒臭いモノに好かれやがる。なんなんだよ、あのクソ女。疫病神かなにか憑いてんじゃねぇのか。


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