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思ったよりシロの存在がヤバい事にやっと気付いたけど、だからどうしろって感じだ。
どうしてもシロの協力は必要だし、シロの封印が解けない限りは儀式も出来ない。
……あー、もしかして
「…ねぇ、シロ」
「ん、なに?」
「わたしの事、逃がす気ないでしょ」
「………どうして?」
「最初は、特殊な悪魔なんだなぁ〜ってあっさり納得しちゃってたけどさ。なんて言えば良いのかなぁ…色々とおかしな部分を集めて繋げるとさ…封印を解く為じゃなくて、ただ単にわたしを縛り付ける為にわざと死なない呪文を教えたのかなって」
まず最初に、完璧な呪文を教えなかった理由は "自分を信じてくれたから死なせたくなかった" って言ってたけどさ。よくよく考えたら、死なせたくないって言ってたわりに衰弱死するレベルのモノだったし。最悪は見殺しにしても、自力でどうにか出来たみたいだし。
で、死に掛けてたわたしを助けてくれたのはシロだけど、そこでもう既に立場が逆転してるんだよね。完璧じゃなくても封印はある程度解けてる訳だし、この時点でわたしを無理矢理どうにかする事が出来た訳なんだよね。
それをしないで、あたかもまだ自分は何も出来ないって感じだったけど、それが既に罠だった訳よ。普通にシロはわたしがいれば魔力は補給出来るし、苦労せずに封印も跳ね返せる。だから、わたしがいれば他はどうでもいいって言うのは本当だとは思うんだけど…だったら、わざわざ魔力を使う様な事をしないはずじゃん? いくら約束があって協力するといっても、自分の封印が解けるかもしれないのに無駄に魔力を使うなんて有り得なくね? そもそも、魔力さえあれば跳ね返せる訳だし。
で更に、もし儀式が終わった後の時わたしを元の場所へ帰してくれるって話あったじゃん? あの時、シロは "代償は要らない" って言ったけど、そもそもシロは儀式が出来ない事をわかっててて言ってた説。
だって、儀式に必要なモノはまだ集まってない上に召喚される化け物は人型になって、更に強化されてる。
そうなった時に、わたしがどうするかをわかってたからこそわざと真を助けたり、わたしがギリギリ死なない呪文を教えたんだよね。
「…だから、僕は最初からおねぇちゃんがいてくれたら他はどうでもいいよって言ったよね」
「…まぁ、うん、言ってたね」
「チッ…だから言ったろ、信じんなって」
「は? なに、どういう事?」
「…1番最悪な状況。今の俺等には、シロを頼る以外に儀式をする方法がない。で、シロは儀式を手伝う代わりに千夏を寄越せって言ってる訳」
さっすが、真と健ちゃんは理解は早くて助かるぜ。
という事で、わたしが此処から帰れる可能性がほぼ0になりました。
あぁ…クソ、気付かなきゃよかったぜ。しかも、選択肢はほぼないからね。
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