有能な生け贄 | ナノ
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正直、説明するのは面倒だから嫌だったけど…流石にそうも言ってられないので、仕方なく説明をする。

まぁ、この状況だし。
わたし達が動かない限りは、あの化け物はあそこから動かないだろうしね。



「…なんつーか、状況はわかったけどよ。なら、どうすんだ? リスクがあるのはわかるが、地下に戻らなきゃどうしようもねぇだろ?」

「それを考えてんだよ。ノーリスクとまではいかなくても、今後の事を考えたらなるべく状況を悪化させたくないし」

「千夏的に鉢合わせする可能性は高いのか?」

「普通に高いでしょ。全部の化け物を把握してる訳じゃないけど物音に敏感そうだし、共食いする為に動き回ってる訳だし」

「シロの予想ですと次からは人型になるみたいですし、今よりかなり厳しい状況になりそうですし」

「でもさ、それってどうしたって防ぎようがなくね? 今、必死に共食いを避けたところで知らん内にどうせ共食いしてんじゃん。ここでグダグダ考えてる方が時間の無駄じゃね?」


…突然のド正論。

確かに、わたし達が化け物に対抗する手段を持たない時点で共食いは防ぎようがない。そして、この時間が無駄なのもその通りである。

だがしかし、この危機的状況からどう脱出するかが問題であって…化け物の共食いに関しては仕方ないから無視するとして、どうするかなぁ。ノーリスクでの脱出は無理だろうし、だからといって囮をするにのはなぁ…。



「なんつーか、どうしたって危険なのは変わりねぇんだろ? だったら、いっその事もう1体の化け物も誘き寄せちまえばいいんじゃねぇの? 共食いはしちまうだろうけど、安全に地下へは戻れるだろ」

「それでいいんじゃね? 今は、地下に戻るのが第一っしょ」

「囮は、責任持って俺がやってもいいしよ。千夏は、少し考え過ぎだろ。先の事より、今どうするかだろ?」

「珍しくザキが正論言っててウケる」

「…志波さん、どうしますか?」



確かに、この状況をどうにかしない事には先の事をいくら考えたって無駄だ。わたしもかなり余裕がないって事なのかなぁ…普通に弘の言う通りだし。

となると、誰を囮にするかだけど…そうなると判断力もそうだけど臨機応変に対応出来る奴じゃないとヤバいよなぁ。で、更に化け物に驚いたり、共食いを見ても動揺しない奴ってなると…赤司はちょっと不安だよね。

メンタルは強い方だろうけど、咄嗟の判断力が不安。それに野生の勘も鋭い方では無さそうだし。


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