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シロがかなり早い段階で化け物を感知してくれたお蔭で、化け物と鉢合わせする事はなかったが…まさかの化け物は階段の目の前で何を思ったのか、ピタリと動きを止めていた。
つまり、戻るに戻れない状況である。そして、そんな状況でもまるで焦る様子のないメンバーにもはや頼もしさを通り越して、ドン引きである。いや、シロはまだわかるけど…お前等はもう少し焦れよ。対抗手段ねぇだろうが。
「つーか、シロがどうにか出来んじゃねぇの? あいつ、そこまで強そうに見えねぇけど」
「あの使い魔をどうにか出来るかと言えば出来るけど、物音でもう1体が来た場合に今の僕の魔力だと足りるかわからない」
「確かに見た目は強そうに見えませんが、俺達では全く歯が立たないじゃないですか。それにいくらシロが魔術を使えて悪魔だとしても、今は万全ではないですし…無理をさせるのは良くないかと」
「倒したりしないで逃げるだけなら魔力もそこまで使わないし、2体目が来たら共食いになるから、僕が囮になるよ」
あからさまにシロを酷使する気満々の一哉だったが…シロに冷静に答えられるし、更には赤司にまで突っ込まれてて草。
そもそも、化け物を倒す事にメリットがない事は知ってるはずなのになんでどうにかしようとしてんだよ、バカかよ。
そして冷静じゃない一哉を無視して、シロと赤司が淡々と話を進めているが…正直、シロを囮に使うのは確かに有効だし現実的だ。だがしかし、わたしは認めんぞ!!
「シロが囮になるのはいいけど、1人なのはダメ。何かあった時に困るし、わたしが嫌だ」
「でも、おねぇちゃん」
「まぁ、シロからしたらわたし達は足手纏いだろうけど1人は絶対にダメ。だから、囮をするなら誰かと一緒ね」
「……わ、わかった」
「それで、誰が一緒に囮をするんだ? 千夏を抜かした4人の中からという事だろう?」
「サラッとわたしを抜いてんじゃねぇよクソが」
そして案の定、わたしを抜かす康次郎にイラッとするが…流石に今のわたしだと足手纏い確定なので腹が立つが仕方がない。だがしかし、シロと他の連中を一緒にするのもちょっと不安なんだよなぁ。
まぁ…妥協して、赤司か弘ってところかなぁ。一哉と康次郎は、間違いなくシロと相性が悪いし。というか、普通に一哉と康次郎はシロに歯向かいそうだからな。
とりあえず、一哉と康次郎はナシと伝えると赤司が "ですよね" と言わんばかりに頷いた。アレ? 実は、この中でまともなのって赤司じゃね。
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