有能な生け贄 | ナノ
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20*(2/4)

…う、うぅ〜あぁ〜…。
きっつ、これはきっつい。

キスとか余裕だろと油断していた結果、わたしは大変苦しんでいる。

よく考えればわかる事だけど、相手はインキュバスな訳で…まぁ、そりゃあ催淫効果とかありますよね。

その結果、理性が崩壊寸前で思考がぶっ壊れそうでわたしは必死である。

そして目の前には、申し訳なさそうな顔をしつつわたしを心配しているシロ。く、くそっ…可愛い顔しやがって、この悪魔め!!!

ていうか、呪いがあってこの威力なんですか? なら、呪いが解けた後とか恐ろしくてたまんねぇな。わたしの理性とか一瞬でぶっ飛ぶんだが? むしろ、キス1回でこの有り様なんだが? どうなってんだ、このインキュバス。

いや、インキュバスだからこそか。ダメだ、頭が死んでやがる。



「おねぇちゃん…だ、大丈夫…? ごめんね」

「っ、これ…どうすれば収まる?」

「…えっ、わからないけど…気絶する、とか?」

「はっ…物騒で草。でも、ちょっと手出さない自信ない、からっ…気絶させて」

「……わかった」



流石にシロを襲いたくはない。ていうか、普通に誰彼構わず襲いそうなのでワリとマジで困る。いや、そういう効果のモノだから仕方ないんかもしれないけど…わたしは、嫌だ。

で、気絶を選んだ訳だが…まさかのそっち?

確かに、シロからしたら魔力も回復するし? わたしを気絶させるのも簡単だろうけど、鬼畜かよ。いや、悪魔だけど。

マジでキスくらい別に減るもんじゃないけどっ…流石に悪魔にキスで気絶させられるのは、ちょっと嫌だったなぁ。

もちろん、理性はぶっ飛ぶ寸前だった訳で…そんなもん、あっさりシロを受け入れるしかないじゃないか。

息苦しささえ心地好くて、もはや何も考えられなくなって来た時だった。

急にドアが開いて聞き覚えのある声が熱に融けた脳に響き、ゆっくりと目を開けるが…体は動かない。



「なっ…」

「…はっ、どういうつもりだ?」

「だから言ったじゃん。千夏と2人っきりにすんなって」

「…千夏に何したの?」

「……おねぇちゃん? 僕、どうしたらいい?」



……っん、あぁーー…。
まだ熱の引かないわたしの体を支えながら、シロが困った様にわたしを見つめる。

えー…えーとっ…。
なかなか、思考が戻って来なくて頭を押さえてただ唸る。

だけど、とりあえず…わかるのはシロは守らなくちゃならないって事で…ゆっくりと真達の方を向きシロを守る様にスッと手を広げた。


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