さよならと嗤う | ナノ
17*(1/4)


…あぁ、いったぁ。
真に抱えられて無事に体育館に戻って来れたのはいいけど、体中が痛くてキレそう。

しかもまともに足も動かん。
紫原といい勝負なんだけど。



「はい、千夏まじでクソー。何やってんのまじで。学習能力ないのー? 頭ん中ババロア?」

「ぎゃはは! 原さん容赦無さ過ぎ!!」

「…うっせぇなぁ。生きてたんだからいいん」
「それ結果論だよね」
「収穫もあっ」
「たとしても、千夏が犠牲になる必要あった?」
「珍しく瀬戸がブチキレてて怖っ」
「ザキは黙ってて」

「しかもあの女だけ無傷とかさぁ。まじうけんだけどー」



霧崎スペースにて、マットに座りながら健ちゃんのマジレスのお説教をされている。いや、まぁ…ド正論な上に言い訳が出来ないので素直に聞いてます。

とりあえず、生きてる事を誉めてくれ。そして誰1人死なずに帰って来ただけ凄いだろうに。ま、若干1名はなんと不思議! 無傷みたいですけどね! ははっ、まじでしねよ。

そして健ちゃんの説教を聞きながら、青峰に借りたTシャツを脱ぎ出すと…目の前にいた高尾は何故か吹き出して、弘は真っ赤な顔して勢いよく顔を反らした。

いや、今更そんな反応をする弘はやっぱり弘なんだなって。



「なっ…なんで脱ぐんだよ!? つーか、おまっ…怪我!?」

「これ青峰のTシャツでさぁ、返せよって言われてたの思い出して」

「ぎゃはは! だからここで脱ぐッスか、普通!?」

「今更、下着くらいでギャーギャー言うなよ。一哉、Tシャツちょーだい」

「えぇ、やだ。別にそのままでいいじゃん」

「ちょ、原さん…ぶふっ!!」

「健ちゃん」
「やだ」
「康次郎」
「無理だな」

「お前等、まじでクソだな」



ま、わかってたけどな!
どうせお前等は、断るってな!! そして、弘はそもそもYシャツ1枚だからどうにもならん。1番、騒いでる弘がTシャツ着てれば早かったのに。

とりあえず、諦めモードのわたしはのそのそとハイハイをする様にして、青峰がいるであろう場所へ向かう。

なんか後ろから"パンツが!"とか言ってるが、もはや下着姿なので今更パンツとかどうでもいい。中身が見えてないからいいんだよ。



「あ、あのっ…!」

「…あぁ?」

「これ、着て下さいッス…」

「………え、要らない」



後ろから一哉と高尾のバカ笑いが聞こえてくるが、無視だ無視。そして不意に声を掛けられて顔を上げたら、わたしにTシャツを差し出している黄瀬がいた。

しかしお前のTシャツは要らん。なんか嫌だ、生理的に受け付けないから無理。って事で、物凄く嫌な顔して断った。

おい、さっきから後ろうるせぇんだよ! 特に一哉と高尾ォ!!

そしてそんな黄瀬を無視して、よいしょよいしょと青峰の元を目指す。膝小僧が痛いが、青峰に借りを作りっぱなしなのは嫌なので早くTシャツ返したい。

ていうか、怪我してるんだからお前等はパンツとか騒ぐ前にわたしを止めろよ!

いや、もうここまで来たら怪我の手当ては、Tシャツ返したあとでいいけど。


prev / next

[ back to top ]